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中国、石炭価格に介入検討 高騰で警戒感

先物、最高値からストップ安 効果は不透明

中国政府は19日夜、石炭の供給安定に向けて価格決定への介入策を検討すると発表した。石炭会社の利益率を制限するといった案がある。石炭価格の高騰は電力制限や中小企業の収益悪化を招き、中国景気が停滞する一因となっている。より直接的な価格統制の検討をうけ、一般炭の先物価格は最高値圏から急落した。

国家発展改革委員会は19日、主要な石炭会社などと座談会を開いた。今冬や来春のエネルギー確保へ石炭に特化して議論した。この会議で価格法に基づく石炭価格への介入措置を検討した。

価格法第30条は「重要な商品やサービスが著しく値上がりした場合、価格への介入措置をとれる」と規定。具体例として、利ざや率や利益率の制限、限界価格の設定、値上げ申告制度や価格調整届け出制度の実行を挙げている。

会議では、石炭会社に価格を安定させやすい中長期の契約を履行するよう要求した。市場監督部門が価格のつり上げや買い占め、値上がり期待の売り惜しみを徹底的に排除する方針も確認した。

政府の介入方針をうけ、中国の鄭州商品取引所で取引する一般炭先物は19日の夜間取引で急落した。最も取引量の多い2022年1月物の取引価格は終値比で8%安の1トン1755.40元(約3万1千円)と制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下がった。

同日の日中取引で同1982元と前年末時点の3倍まで高騰し、最高値を付けていた。一般炭の先物取引価格は、中国国内で深刻化する電力不足を背景に大幅な上昇が続いてきた。

政府に歩調を合わせる形で、同取引所も20日の夜間取引から一般炭の取引の値幅の制限を10%とし、一部会員の取引に制限を課すと発表した。

エネルギーの安定供給をめぐっては、中国の国有企業を統括する国務院国有資産監督管理委員会(国資委)も18日、供給確保を国有企業の査定の重要指標とすることを確認。供給不足や価格高騰が新型コロナウイルス禍から回復を続けてきた中国経済の足を引っ張っているからだ。

中国の7~9月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比4.9%増と、4~6月(7.9%増)から落ち込んだ。季節調整済みの前期比伸び率は0.2%増どまりで、景気が踊り場状態にあることを鮮明にした。

主因は石炭を含む資源高だ。中小零細企業の価格転嫁が遅れ、収益が悪化した。設備投資が落ち込んだほか、雇用回復の重荷ともなった。都市部の新規雇用は今なお新型コロナ前の水準に届いていない。

電力制限も成長の足かせだ。石炭価格の上昇で業績が悪化するのを嫌がる発電会社が発電を渋り、工場の稼働停止が相次いだ。政府の気候変動問題への対応強化も影響した。発展改革委員会も「石炭価格の急上昇は電力供給や冬場の暖房サービスに悪影響をもたらす」と懸念する。

政府の価格統制強化がどれほど石炭市場の過熱を抑えるかは見通せない。

最近の価格上昇は、投機というよりも、電力不足という需給逼迫が引き起こしているからだ。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表は「政府が投機的な取引に目を光らせても、電力不足が解消しない限り、一時的な効果しかもたらせない」と指摘する。投機的な取引を市場から閉め出すと「割高だから売ろう」とするプレーヤーがいなくなり、値動きがより一方向に傾きやすくなる恐れもある。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の国吉信行氏は「想定外の暖冬にならない限り、中国内の需給逼迫や価格高騰は冬が終わるまで続く可能性が高い」とみる。

(北京=川手伊織、コモディティーエディター 浜美佐、蛭田和也)

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