シンガポール、20年の設備投資13%増 半導体がけん引

【シンガポール=谷繭子】シンガポール経済開発庁(EDB)が20日発表した2020年の国内外の企業の設備投資額は172億シンガポールドル(約1兆3400億円)と、前の年から13%増えた。半導体関連の新規投資がけん引し、08年以来12年ぶりの高水準となった。ただ企業は新型コロナウイルスの感染拡大で投資に慎重になっており、21年は前年を下回る見通しだ。
分野別ではエレクトロニクスが全体の37.7%と最大で、前の年より41%増えた。米マイクロン・テクノロジーやSTマイクロエレクトロニクスなど半導体メーカーが需要増に対応するため同国での生産能力増強を決めた。全体の24%を占める化学分野は19年より減ったものの、エクソンモービルの施設拡張などで高水準を維持した。バイオ医薬、物流、輸送機器は19年の倍以上に伸びた。
ベー・スワンジン長官は同日の記者会見で21年の見通しについて「前半は厳しい状況が続くが、ワクチン接種が広がれば年後半には企業の投資心理が改善する」と語った。設備投資額は「中期目標である80億~100億シンガポールドルは維持できる」と述べた。
20年の新規投資で生み出した付加価値額は年間312億シンガポールドルと、19年比6%増。中国企業が付加価値創出に占める割合が全体の39.7%と、前年の8.6%から大きく伸び、トップの米国に迫った。
付加価値額は予想される賃金や利益の額を合わせたもので、企業投資の国内総生産(GDP)への貢献を測る物差し。騰訊控股(テンセント)や北京字節跳動科技(バイトダンス)など、中国のIT大手が東南アジア事業の統括拠点を相次いで設立したのが押し上げ要因となった。