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金正恩氏「米国と長期対決」 核実験・ICBM再開を示唆

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、発足から1年を迎えたバイデン米政権との「長期的な対決」に臨む姿勢を示した。19日の朝鮮労働党の会議で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の再開に向けた準備を始めると示唆した。緊張を演出し、先々の対話で米国を北朝鮮に有利な状況に引き込む戦略を描く。

北朝鮮による核実験と長距離弾道ミサイルの発射は2017年が最後だ。金正恩氏が18年4月に豊渓里(プンゲリ)の核実験場を廃棄し、ICBM発射を中止すると表明。その2カ月後に、米朝首脳が初めて向かい合ったトランプ米大統領(当時)とのシンガポール会談へとつながった。

朝鮮中央通信によると、19日に金正恩氏が司会を務めた朝鮮労働党の政治局会議は「我々が主導して講じた信頼構築措置を全面再考し、暫定中止した全ての活動を再稼働する問題を速やかに検討」するよう、関係部門に指示を出した。

米韓合同軍事演習や独自制裁が実行されているとして「対朝鮮敵視政策が今後も続く」と分析した。そのうえで「米帝国主義との長期的な対決を準備し、国権を守る物理的な力を強める実際行動へと移るべきだ」との結論を下したという。

トランプ氏とは18年と19年に計3回、会談した金正恩氏だが、バイデン大統領に対しては21年1月の政権発足前から露骨な警戒感を示していた。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は「戦略的忍耐」を主張し、北朝鮮を相手にしなかったからだ。

これまでにバイデン政権は北朝鮮に「前提条件なしの対話」を呼びかけたが、北朝鮮側は「貴重な時間を失う無意味な接触はしない」(李善権外相)と応じていない。

制裁の解除を望む金正恩氏は、対米交渉力を高めるため軍事力を増強する方向へカジを切った。21年1月の党大会で示した5カ年の兵器開発計画では戦術核兵器、超大型核弾頭、ICBMの開発などをあげた。

なかでも優先課題としたのが「極超音速ミサイル」、固体燃料型のICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だった。極超音速ミサイルは21年以来、すでに3回の発射実験を繰り返した。

米国は自国を直接脅かさない北朝鮮の短距離ミサイルは事実上容認してきた。だが、米本土を射程に収めるICBMを見過ごすことはできない。

専門家は北朝鮮が2月の北京冬季五輪後、米国の反応をうかがいながら段階的に挑発を強める可能性が高いとみている。北韓大学院大の梁茂進教授は「中距離、長距離ミサイルの発射、核実験の順で行動を強めるだろう」と予測する。

19日の会議では2月16日の故金正日総書記の生誕80年と、4月15日の故金日成主席の生誕110年に合わせ、盛大な記念行事を催すことも決めた。韓国軍関係者によると、軍事パレードを準備しているもようだ。

金日成氏の生誕105年だった17年4月には大規模な軍事パレードを開き、ICBMを初めて披露した。その後、発射実験を繰り返し、同年11月に「核戦力の完成」を宣言した。

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