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中国、根強い追加利下げ観測 住宅不振で6月は見送り

【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)が20日発表した6月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、5月と同じだった。中小企業の借入金の返済猶予など5月にまとめた金融支援策の効果を見極める姿勢だ。ただ景気の悪化で住宅市場の調整は長引いている。市場では追加利下げの観測も根強く残っている。

LPRは人民銀が毎月公表し、事実上の政策金利と位置づける。優良企業に適用する貸出金利の参考となる1年物は年3.70%と、2月から据え置きが続く。住宅ローン金利などの目安となる期間5年超のLPRは年4.45%となった。5月に0.15%下げたが、連続利下げは見送った。

中国経済は、新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で、春先から急失速した。政府は5月末に景気対策をまとめた。金融支援では、中小企業の借金や失業者らの住宅ローンの元利返済を年内は猶予するよう銀行に促した。小規模事業者への融資拡大なども盛り込んだ。

人民銀は5月に実施した利下げの効果のほか、景気対策に盛り込んだ支援策の実行状況を見極めることを優先する方針とみられる。

市場関係者の間では、追加利下げの観測がなお根強い。浙商証券の李超チーフエコノミストは「期間5年超のLPRをさらに0.15%下げる可能性がある」と予測する。マンション市場の低迷が長引いていることが要因の一つだ。

中国国家統計局によると、5月の住宅販売面積は前年同月比37%減少した。バブル抑制のための不動産金融規制をうけ、昨夏から住宅市場が冷え込んだ。さらにゼロコロナ政策のあおりで雇用環境が悪化し、マンションの購入需要は一段としぼんだ。

銀行が個人に貸し出した中長期資金は5月、76%減った。中長期資金の大半が住宅ローンだ。市況の悪化が長引いたことで資産としての値上がり期待も弱まり、マンション購入の様子見が広がっている。

不動産業は関連産業を含めると、国内総生産(GDP)への貢献度が3割近くにも及ぶとされる。年後半にかけて景気を着実に回復させるには、不動産市場の回復が欠かせないとの見方が多い。

5月末にまとめた景気対策は「金融機関が預金金利を下げた効果を貸し出しにも波及させ、実質的な融資金利を引き続き下げていく」とも明記した。銀行の資金調達コストを抑えることで、貸出金利を下げる余地を生み出すということだ。この表現も、追加利下げの予想を増やした。

人民銀は4月、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率を下げた。また銀行の業界団体を通じて、預金金利の引き下げを促した。いずれも銀行のコストを減らす措置で、5月に期間5年超のLPRを下げる環境整備となった。

外国為替市場では、人民元の対ドル相場は4月半ばからの1カ月間で6%強下落した。米利上げ観測が主因で、国際金融市場の振れは大きくなっている。人民銀は、人民元や資金流出入の動向にも目を配りながら、今後の金融政策を決めていく姿勢とみられる。

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