不動産の中国恒大、大手地銀を提訴 預金凍結に不服

【広州=比奈田悠佑】中国不動産大手の中国恒大集団は19日、同社の預金を凍結した大手地方銀行を提訴すると発表した。融資に関して何らかのトラブルがあったとみられる。大胆な借り入れによって成長した恒大を巡っては、負債の大きさから財務問題への注目が高まっている。
グループ傘下の恒大地産が南部広東省を地盤とする広発銀行を提訴する。恒大は訴えの詳細を明らかにしていないが、同行の宜興支店(江蘇省)が「訴訟前の(財産)保全行為を乱用している」と主張する。
江蘇省の地方裁判所が7日に決定した、宜興支店による恒大の預金1億3201万元(約22億円)の差し押さえ措置に対して不服があるようだ。
広発銀行側も恒大の預金を差し押さえた理由を明らかにしていない。ただ訴訟前の財産保全手続きであることから、今後恒大を訴えるとの見方が大勢を占める。
恒大は19日の声明で「宜興支店へのローン返済期限は2022年3月27日だ」とした。ローンに関し両者で食い違いがあるもようだ。中国恒大の株価は19日終値で、先週末比16%下落した。
1996年に創業した恒大は設計や資材調達の社内ルールを整備してコストを抑制して急成長した。シンクタンクの中指研究院によると20年の同社の不動産販売面積、販売総額は業界2位だ。
一方で土地の仕入れや事業多角化のため繰り返した借り入れで、負債も大きく膨らんだ。華西証券によると中国恒大の20年末の資産に対する負債の比率は76%超だ。金融当局が不動産大手の財政規律への監督を強化するなか、住宅物件の販売を加速するなどして財務体質の改善を急いでいる。