マレーシア中銀、政策金利据え置き 国内景気下支え

【シンガポール=中野貴司】マレーシア中央銀行は19日の金融政策委員会で、政策金利を年2.75%に据え置くことを決めた。2022年11月の前回会合まで4回連続で利上げを続けており、据え置きは22年3月以来となる。成長率低下の懸念が高まっており、利上げの打ち止めで国内景気の下支えを狙う。
マレーシア中銀は19日の声明で「世界経済の減速に伴い、マレーシアの23年の成長率も22年から低下すると見込まれる」と指摘。地政学リスクの悪化や供給網の断絶などさらなる下振れにつながる要因を列挙した上で、「今回の据え置きによって、これまでの連続利上げの経済への影響を精査することができる」と説明した。
ロイターの事前調査では9割以上のエコノミストが利上げ継続を予想しており、据え置きは大方の予想を覆すサプライズとなった。

マレーシアの22年1~11月の物価上昇率は3.4%と、欧米に比べて低位にとどまっている。中銀はインフレのピークが22年7~9月期で、23年は上昇率が下がると見込んでおり、インフレ対策の観点から利上げを続ける必要性は薄れている。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍り、自国通貨リンギ安の圧力も弱まっていることから、3月の次回会合以降も当面据え置きが続く可能性がある。