マカオのカジノ6社、10年で2兆円投資 非カジノに9割

【香港=木原雄士】マカオでカジノ運営免許を維持した金沙中国(サンズ・チャイナ)など6社が今後10年で1188億パタカ(約2兆円)を投資すると表明した。うち9割を観光施設の開発など非カジノ分野にあてる。外国人観光客の誘致にも力を入れ、カジノ都市から観光都市への転換をめざす。
マカオ政府が16日、6社と正式に契約を結んだ。新たな免許は2023年1月から10年間有効。今回、新規参入をめざしたマレーシアのゲンティン・グループは落選した。
各社の発表によると、最も投資額が多いのは「ベネチアン・マカオ」を運営する金沙中国で300億パタカ。銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)が284億パタカ、永利澳門(ウィン・マカオ)が177億パタカで続く。
銀河娯楽は96%を非カジノ分野にあて、ファミリー層を対象にした遊園地や劇場、大型の会議場などを整備する。MGM中国は167億パタカのうち150億パタカを観光客の誘致や、世界的に著名な映画監督、張芸謀(チャン・イーモウ)氏と組んだ常設ショーの充実にあてる。
マカオ政府は非カジノ分野への投資について「大型展示会やエンターテインメント、スポーツイベントなど10分野に焦点を当てる。マカオの国際的なイメージを高め、観光客をひき付ける」と説明した。一方で「カジノ業界への監督を強化し、健全で秩序ある発展を確保する」とも指摘した。
マカオは「一国二制度」が適用される中国の特別行政区で、中国国内で唯一賭博が合法。習近平(シー・ジンピン)指導部はカジノをめぐる不透明な資金の流れを断つため、マカオの産業多角化を進めようとしている。ただ、新型コロナウイルスの感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策によって外国人観光客は激減しており、観光都市化の行方は不透明だ。