ペトロベトナム、南部で製油所計画 投資額2兆5000億円

【ハノイ=大西智也】ベトナム国営石油最大手ペトロベトナムは、製油所と石油化学プラントの複合施設を国内に建設する計画を明らかにした。総投資額は最大185億ドル(約2兆5000億円)になる見通し。実現すれば、ベトナムで3番目の製油所になる。
複数の現地メディアが報じた。同社がファム・ミン・チン首相に建設計画を伝えた。
南部バリアブンタウ省に建設する予定。工期は2期に分かれており、計画完了後の原油処理能力は年2400万~2600万トン。1期工事の投資額は最大135億ドル、2期工事は50億ドルを見込む。ほかに石油製品の備蓄施設なども建設する。
製油所で必要となる原油などは可能な限り国内産でまかない、不足分は中東や米国から輸入するとしている。稼働時期については言及していない。
ベトナムでは北部に出光興産が主体のニソン製油所(タインホア省)、中部にペトロベトナムグループが運営するズンクアット製油所(クアンガイ省)がそれぞれ稼働している。ただ、石油製品や石油化学製品で国内需要全体の約45%を占める最大都市ホーチミン市がある南部には製油所がなかった。
ぺトロベトナムはこうした現状を踏まえ「石油製品の輸送はコストがかかっている。製油所などを南部で建設することは合理的だ」と説明している。
ただ、ベトナムでは既に石油製品需要の7割以上を2カ所の製油所でまかなう。環境規制が強まるなか、電気自動車(EV)の普及などでガソリン需要は今後伸び悩む可能性が指摘されており、供給過剰への懸念もある。多額の資金調達も課題になりそうだ。