中国と加盟交渉開始 デジタル貿易協定DEPA参加3カ国

【シンガポール=中野貴司】デジタル貿易に関する協定「デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)」に参加するシンガポール、チリ、ニュージーランドの3カ国は18日、中国と加盟に向けた交渉を始めると発表した。DEPAは人工知能(AI)やビッグデータなど先端分野の標準的なルール形成を目指しており、加盟が承認されれば中国のデジタル貿易分野での影響力が強まることになる。
中国は2021年11月にDEPAへの加盟を申請しており、3カ国は18日、中国と交渉にあたる作業部会の設置を発表した。作業部会の議長国を務めるチリを中心に3カ国は今後、中国の国内法や規制がDEPAのルールと整合的かどうかを審査する。
個人データ保護や国境を越えるデータの扱いなどの分野で、中国がDEPAの基準を満たせるかが焦点となる。シンガポールのガン・キムヨン貿易産業相は18日の声明で「シンガポールは中国の加盟申請を歓迎しており、作業部会の設置は喜ばしいことだ」と述べた。
DEPAの参加3カ国は、ブルネイと共に環太平洋経済連携協定(TPP)の原型をつくった実績があり、DEPAはアジア太平洋地域のデジタル貿易の標準ルールに育つ可能性がある。電子商取引などデジタル経済の市場規模は拡大し続けており、中国は加盟によって域内貿易での存在感を一段と高めたい考えだ。中国はTPPにも加盟申請している。
20年6月に3カ国が署名したDEPAには韓国も加盟申請しており、既に3カ国と参加に向けた交渉に入っている。