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ベトナム首相、英仏日本訪れ「商談外交」経済回復めざす

【ハノイ=大西智也】ベトナムのファム・ミン・チン首相が外国企業の投資呼び込みに躍起になっている。11月上旬にかけて英国とフランスを訪問し約300億ドル(約3兆4000億円)の商談を成立させたほか、25日に東京都内で開かれた投資カンファレンスでは、エネルギー分野などでの協業を後押しした。

首相自ら「商談外交」に乗り出し、落ち込んだ経済の立て直しにつなげる。

チン氏は22日から25日まで日本を訪れ、岸田文雄首相と会談した。訪日には、ベトナム企業関係者100人以上も同行した。

25日の投資カンファレンスで、チン氏は「ベトナムは政治が安定しており、安心して長期的な投資を実施してほしい」などと日本企業に呼びかけた。日本企業が参画する液化天然ガス(LNG)関連やインフラ開発など45件、100億ドル超の投資関連の覚書などがベトナム側と結ばれた。

ベトナム統計総局によるとベトナムと日本の2020年の貿易総額は約400億ドル。10年前と比べて2.3倍に増えた。

日本からベトナムへの海外直接投資(FDI、認可ベース)は1~10月までの期間で前年同期比90%増の34億ドルになり、シンガポール、韓国に次いで国・地域別で3番目だ。

日本の外国人技能実習制度ではベトナム人が実習生全体の半分以上を占めるなど、両国の経済的な関係は年々深まっている。

ベトナムは1986年に始めた「ドイモイ(刷新)」政策で、大胆な経済開放を進めてきた。共産党一党支配体制を維持しつつ、自由貿易を標榜してきた。2007年に世界貿易機関(WTO)に加盟した。

環太平洋経済連携協定(TPP)などの自由貿易協定にも積極的に参加することで、外資主導で高い成長を実現してきた。現在はベトナムの総輸出額の7割以上を外資系企業が担っている。

チン氏は欧州地域との関係も強化しようとしている。第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に合わせて10月31日~11月5日にかけて訪問した英国とフランスでは欧州大手企業や金融機関などの60人以上の幹部と面談し、ベトナムへの投資を訴えた。

英ロールス・ロイスや仏サノフィなど欧州企業との覚書などの数は約60件、約300億ドルに達した。

ベトナムは昨年8月に欧州連合(EU)、英国とは今年5月に自由貿易協定(FTA)を発効させている。ベトナムは中国の代替先として製造業が集積した結果、対米黒字が膨らみ、米国から制裁関税を課されるリスクが出ている。欧州との関係強化で輸出先の多様化を図る。

ベトナムの7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比6.2%減少した。四半期ベースで統計を遡れる2000年以降で初のマイナス成長になった。新型コロナウイルスの拡大を抑え込むため、流行地の南部を中心に工場の従業員が敷地内で寝泊まりして働く「工場隔離」が厳格に運用され、生産が低迷した。

チン氏は今年の4月に首相に就任した。直後からデルタ型の新型コロナウイルスの流行に見舞われ、対応に追われている。足元では1日当たりの新規感染者が1万人を超えており、一旦緩和した規制を再び強める懸念が出ている。首相自ら外資系企業との商談を主導し、政府が外資系企業を重視している姿勢を内外にアピールする狙いもある。

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