中国マンション価格、コロナ規制で下落率再拡大 4月

【北京=川手伊織】中国のマンション市場が再び冷え込んでいる。4月の主要70都市の新築物件価格は平均で前月比0.3%下がり、下落率は3月の0.1%から拡大した。習近平(シー・ジンピン)指導部が新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で経済が悪化し、住宅需要もしぼんだ。

中国国家統計局が18日発表した。前月から値下がりしたのは全体の7割弱にあたる47都市で、3月より9都市増えた。地方の中小都市でマイナス幅が広がったほか、省都クラスも4カ月ぶりに下落した。
新築物件の平均価格は2021年9月から前月比マイナスが続く。習指導部がバブル抑制のため不動産金融を引き締めたためだ。規制の部分的な緩和で22年に入ってから下落幅は縮まっていたが、上海市の都市封鎖(ロックダウン)など厳しい行動制限で4月は再び市況が悪化した。
4月のマンション販売面積は前年同月より42%減少した。落ち込み幅は、中国経済が初めて新型コロナの打撃を受けた20年1~2月(前年同期比39%減)を上回り、10年以降では最大だった。
雇用の悪化が長引き、住宅ローンの借り入れをためらう人が多い。中国人民銀行(中央銀行)によると、4月の住宅ローン向け新規貸し出しはマイナスとなった。新たな借入額が返済額を下回ったことを示す。
人民銀の調査では、1~3月時点で住宅の値上がり期待が7年ぶりの水準に低下した。資産価値の増加を期待しにくいことも、住宅市場の回復にとって重荷だ。
マンション市場は5月に入っても不調が続く。1日の労働節(メーデー)に伴う大型連休は例年、住宅展示場を訪れる人が増え、不動産業界のかき入れ時だった。ただ調査会社の中国指数研究院によると、上海市を含まない主要12都市の合計売買面積は、19~21年の同時期の平均と比べて5割減少した。
市場をてこ入れするため、人民銀などは15日、1軒目の購入を対象に住宅ローン金利の下限を引き下げた。省都など経済規模が比較的大きい都市では、かつてバブル抑制のために設けた住宅購入制限を緩める動きも広がる。ただ景気の悪化で家計の先行き不安は強く、肝心の住宅需要が持ち直すかはなお見えない。
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