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豪州、島しょ国と国防相会合 中国念頭に連携強化へ

【シドニー=松本史】南太平洋のトンガで18日、オーストラリアとニュージーランド(NZ)や軍隊を持つ3島しょ国などの国防関係者が参加する「南太平洋国防相会合」が始まった。豪州は地域で影響力を強める中国を念頭に、軍の相互運用性を高めるなど、島しょ国との連携を深める。

会合には豪・NZに加え、仏領ニューカレドニアに基地を持つフランス、南米のチリ、南太平洋島しょ国のパプアニューギニア、フィジー、トンガが参加した。

対面開催は2019年以来3年ぶりだ。関係者によると19日にも共同声明を出す方向で調整している。

豪州のマールス副首相兼国防相は会合に先立ち声明を出し、南太平洋地域での安全保障が「伝統的、非伝統的な脅威にますます直面するようになっている」と指摘した。各国間で情報を共有したり相互運用性を高めたりすることが必要になると強調した。

名指しは避けたが、各国の念頭にあるのは中国だ。太平洋島しょ国では開発支援を通じて中国が影響力を強めてきた。今回、主催国となったトンガは06年に起きた暴動や焼き打ちからの再建支援を中国に頼り、多額の債務を抱えている。

パプアでは、豪州に近接する島に中国企業が巨額を投じて港湾を含む工業団地を整備する計画が過去に取り沙汰された。会合の参加国ではないが、地域の要衝にあるソロモン諸島は4月に中国と安保協定を締結し、中国による軍事拠点化の懸念も出る。

島しょ国と地理的に近く、歴史的な関係も深い豪州は巻き返しを急いでいる。マールス氏は会合に先立ち、14日までパプアを訪問した。同国のマラペ首相と会談後「国防レベルで共にできることは何か、多くを話し合った」と述べ、2国間の安保協定を検討していると明らかにした。

マールス氏は会合後にフィジーも訪れる予定だ。積極的な島しょ国訪問は、対面での協議を重ねて連携を深め、中国の軍事的な進出を未然に防ぐ狙いがある。

一方、中国外務省の汪文斌副報道局長は17日の記者会見でトンガでの国防相会合について問われ「関係各国の軍事協力が地域の平和と安定に寄与し、いかなる第三者をも標的としないことを願う」と述べるにとどめた。

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