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中国進まぬ構造改革、不動産税先送り 党大会へ安定優先

【北京=川手伊織】中国政府が、固定資産税に当たる不動産税の試験導入の先送りを決めた。新たな税負担がマンション市場の低迷を長引かせかねないと警戒するためだ。習近平(シー・ジンピン)指導部は秋の共産党大会をにらみ、経済の安定を最重視するが、住宅所有をめぐる格差縮小といった構造改革の停滞は避けられない。

国営新華社が16日、財政省が年内実施の見送りを表明したと報じた。

不動産税は昨年10月、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が政府による試験導入を認めた。住宅やオフィスビルの国有地使用権と建物が課税対象だ。

一部都市は事前調査に取りかかった。「試験導入に向けて事前の準備作業をしっかり行う」。福建省アモイ市は1月末に公表した統計資料で新税に言及したが、すぐにサイト上から削除した。「年明けから早期実施に消極的な意見が増えていたのではないか」。不動産関係者は推測する。

政府の不動産金融への規制強化で、マンション市場が冷え込んだことが背景にある。主要70都市の新築物件価格は平均で、2月まで6カ月連続で前月を下回った。不動産税で住宅購入の需要がしぼめば、新規建設が鈍り経済成長の重荷にもなるとの懸念がくすぶる。

秋の党大会で習総書記(国家主席)は異例の3期目入りをめざす。支持固めに安定した経済成長は不可欠だ。ただでさえ、新型コロナウイルスの感染急拡大やウクライナ情勢に伴う資源高など景気の下押し圧力は強い。国務院(政府)金融安定発展委員会は16日の会議で「市場を収縮させる政策は慎重に進める」と強調した。

ただ不動産税をめぐっては、習氏も昨年8月の共産党会議で「立法や改革を積極的かつ着実に進めなければいけない。試験的な事業をしっかりと遂行する」と語った。共同富裕(共に豊かになる)の実現に向けて、格差是正の機能がある新税に注目する。

地方の慢性的な財政難を和らげる効果にも期待が集まる。負担を伴う構造改革は次の党大会を終えた2023年に持ち越す課題となった。

高齢化対策の法定退職年齢の引き上げも具体策が見えない。25年までの5カ年計画で段階的な実施方針を盛り込んだ。今の法規では、原則として男性が60歳、女性幹部が55歳、女性従業員が50歳と決まっている。

沿岸部の江蘇省が3月から始めたが、一律の引き上げではなく本人の申請が前提だ。年金の受取総額が減るといった懸念から、退職年齢引き上げへの反発が根強いためだ。

中国の一般市民は政治参加の意識は比較的希薄だが、自らの生活や経済利益に直結する問題には極めて敏感だ。とりわけ増大する高齢者の発言力は習指導部も無視できない。社会不安を高めないよう、時間をかけて定年延長への理解を深めて、制度改革を進めていくとみられる。

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