フィリピン財閥アヤラ、15年ぶりCEO交代 弟が昇格

【マニラ=遠藤淳】フィリピンの大手財閥アヤラは、ハイメ・アウグスト・ゾベル・デ・アヤラ会長兼最高経営責任者(CEO、61)が2021年4月から会長職に専念すると発表した。弟のフェルナンド・ゾベル・デ・アヤラ社長兼最高執行責任者(COO、60)が社長兼CEOに就く。CEOの交代は15年ぶりだ。
アヤラは06年にハイメ氏とフェルナンド氏による現在の経営体制となった。新体制ではフェルナンド氏が重要な経営判断を下す場面が増えそうだ。ハイメ氏は「会長とCEOを分けることで、企業統治などの強化を求める世界的な潮流に対応する」とのコメントを出した。
旧宗主国のスペインの一族が1834年に蒸留酒製造場を起こしたのがアヤラの起源。第2次世界大戦後、首都マニラの不動産開発で急成長し、現在は銀行や通信、エネルギーなど多様な事業を展開する。経営体制の変更は将来の経営継承も見据えたものとみられ、ハイメ氏は「持続的な成功のための重要な要素となる」としている。
アヤラの20年1~9月期の売上高は前年同期比30%減の1331億ペソ(約2900億円)、純利益は同75%減の113億ペソだった。新型コロナウイルス対策で敷かれた都市封鎖で商業施設を休止するなどの影響を受けた。