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中国経済「ゼロコロナ」の重荷 1~3月も停滞継続か

【北京=川手伊織】中国経済が勢いを失っている。国家統計局が17日発表した2021年10~12月の実質国内総生産(GDP)の伸びは前年同期比4.0%と7~9月の4.9%から鈍った。新型コロナウイルスの感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策が経済活動の足かせとなっており、22年1~3月も景気の停滞が続きそうだ。

「我が国の経済発展とコロナ防疫はいずれも世界をリードしている」。寧吉喆統計局長は17日の記者会見で胸を張った。

11年(9.6%)以来の高さとなった21年通年の成長率(8.1%)を根拠としたが、庶民の実感は乏しい。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストによると、8.1%のうち6.3%分は新型コロナの直撃で低成長だった20年の反動として説明できるからだ。

注目すべきは10~12月期の低迷だ。4.0%の増加率は20年初めに新型コロナ拡大で経済活動が止まった後、復調し始めた同年4~6月(3.1%)以来の低さとなる。

環境や不動産への規制強化に加え、政府が新型コロナ対応で厳しい行動規制を敷いた。10月下旬から感染が広がり、地方政府が省をまたぐ旅行や出張を制限した。12月には内陸部の古都、陝西省西安市が都市封鎖した。

外食や旅行、物流が打撃を受けた。中国経済の「体温」を映す12月の発電量は前年同月比2.1%減少した。20年3月以来のマイナスだ。百貨店やスーパーの売り上げやインターネット販売を合計した12月の社会消費品小売総額(小売売上高)も前月比減少に転じた。

政府が重視する雇用も振るわない。21年の都市部の新規雇用は1269万人だった。前年より7%増えたが、1300万人を超えていた新型コロナ前には届かない。単月では21年12月まで4カ月連続で前年同月を下回り、特に12月は3割近く減った。寧氏も「需要縮小、供給網の打撃、先行き見通し悪化の三重の圧力に直面する」と認めた。

消費や投資が力強さを欠くなか、経済を支えたのは外需だ。21年通年の成長率への寄与度は1.7ポイントに達し、中国経済が高速成長していた06年以来、15年ぶりの高さだった。習近平(シー・ジンピン)指導部は米中対立の長期化をにらみ「外需に頼りすぎない経済」を掲げるが、足元では逆に外需依存が深まった。

22年1~3月もゼロコロナ政策が経済活動の足を引っ張りそうだ。1月8日に天津市で、15日に北京市で新変異型「オミクロン型」の感染者が見つかった。上海市や広東省深圳市にも広がる。2月4日に北京冬季五輪の開幕を控え、政府は厳戒態勢を敷く。

トヨタ自動車など自動車メーカーが天津市に構える工場は操業休止を余儀なくされた。天津港では輸入を中心に通関や積み荷などの業務が停滞し、隣接する北京への物流も支障を来している。

多くの地方政府は2月1日の春節(旧正月)前後の休暇で帰省や旅行の自粛を呼びかける。中国政府は春節を挟む40日間の旅客数が延べ11億8000万人と見込む。新型コロナ前の4割にとどまるが、実際の旅客数はさらに下振れしかねない。

政府が帰省の自粛を求めた21年は当初17億人と予想したが、結果は半分程度の8億7000万人だった。春節がかき入れ時の飲食、宿泊業へのダメージは大きい。

野村証券は、22年1~3月の実質GDPの伸び率を前年同期比2.9%とはじく。米ゴールドマン・サックスもオミクロン型の出現で「より頻繁で広範囲な規制が必要になるリスクが高まった」として、22年の実質経済成長率の予測を4.8%から4.3%に下げた。

景気停滞への政策対応にも関心が集まる。中国人民銀行(中央銀行)は17日、市中銀行に1年間の資金を貸し出す金利を下げた。政策金利の最優遇貸出金利(LPR)と連動するとされ、20日に公表する1月分のLPRは2カ月連続の利下げとなる公算が大きい。

22年は秋に5年に1度の共産党大会がある。党大会のある年は景気対策で成長率は上振れしやすいとされてきたが、地方財政の悪化でインフラ投資にも限度がある。財政出動が要らない景気対策として21年にいったん厳格化した不動産規制を再び緩めるのではないか――。市場ではこんな観測がくすぶっている。

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