/

香港、民主派一掃へメディア統制 異論許さず

(更新)
警察はアップル・デイリーの捜索で取材資料も押収した(17日、香港)=AP

【香港=木原雄士】香港で民主派一掃に向けた動きが強まっている。香港警察は17日、中国共産党に批判的な論調で知られる香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の幹部5人を香港国家安全維持法に違反した容疑で逮捕し、同社の資産も凍結した。メディアを統制し、異論を封じる狙いだ。

警察は早朝から500人以上の警察官を動員して同紙を発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)の張剣虹・最高経営責任者(CEO)や編集長の羅偉光氏らを次々と逮捕し、本社を5時間捜索した。捜索は国家安全法に基づくもので、大量の取材に関する資料を含む記者や編集者のコンピューター38台を押収した。

逮捕された5人は外国勢力と結託して国家安全に危害を加えた容疑が持たれている。国家安全部門の李桂華・高級警司は2019年以降の30以上の記事を通じて外国に中国・香港への制裁を求めた疑いがあると説明した。ただ、どの記事が該当するかは明らかにしなかった。

同紙をめぐっては創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏が20年8月に国家安全法違反容疑で逮捕され、別件で服役中だ。中国当局は香港の民主化運動を長年支持する黎氏を「法律で厳しく処罰されなければならない」などと厳しく批判してきた。

5月には香港政府が黎氏の個人資産を凍結し、親中派も同紙の報道に批判を強めていた。今回の逮捕は記事を問題視したもので、当局が報道機関の取り締まりに踏み出したことを示す。

蘋果日報は17日、読者に向けた手紙で「最後まで戦い続ける」と強調したが、打撃は計り知れない。印刷会社など関連3社の資産が凍結され、業務継続を危ぶむ声も出ている。香港政府の李家超・保安局長は「捜査は継続中だ。犯罪者と関係を断ち切らなければ後悔することになる」と強くけん制した。

多くの警察官がアップル・デイリーのオフィスを捜索した(17日、香港)=AP

香港は「一国二制度」のもと、報道の自由が保障され、中国本土より自由な報道が可能だった。例えば、広東省台山市の原子力発電所で一部の燃料棒が破損した問題は本土でほとんど報道されていない。蘋果日報は1面トップで過去のトラブルなどを含めて詳細に伝えていた。

李保安局長は「今回の逮捕はメディア全体を標的にしておらず、報道の自由は引き続き保障される」と述べたものの、現地記者の間では「どのような報道が法に触れるのか分からない」との戸惑いが漏れる。

立教大の倉田徹教授は「民主派への弾圧がどこまでいったら止まるのか分からない深刻な状況だ」と指摘する。「香港はさまざまな情報が集まる情報センターとしての価値も高かったが、関連企業は香港の位置づけを再考せざるを得ないだろう」と話す。

13日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)は共同宣言で「香港における人権、自由及び高度の自治の尊重を求める」と明記したが、中国は一顧だにせず、7月の共産党創立100年を控えて香港への統制を強める。

中国政府の香港出先機関は17日、警察の逮捕を全面的に支持する声明を発表した。欧米からの批判を念頭に「報道の自由は違法行為の盾ではない」とも強調した。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン