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僧侶参加で抗議デモ拡大 ミャンマー国軍、対応に苦慮

ヤンゴンでは僧侶が列を作り、国連事務所に向けて歩いた(16日)=ロイター

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー最大の都市ヤンゴンでは17日、国軍のクーデターに抗議するデモが規模を拡大し、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の解放を求める市民らが目抜き通りを覆った。国軍が16日に開いた政変後初の記者会見に反発している。同日には世論形成に影響力を持つ僧侶がデモに加わり、参加者の士気を高めた。

17日もデモはミャンマー各地で起きた。ヤンゴンではこの数日、国軍の威嚇で参加者が減っていたが、大きく盛り返した。僧侶の参加が影響した可能性が高い。

国軍が結果を認めない2020年11月の総選挙(上下院選)で当選した、スー・チー氏が党首の国民民主連盟(NLD)の議員は「国軍は(16日の会見で)総選挙を実施すると言ったが、信じるな」と参加者に訴えた。

ヤンゴンでは16日、少なくとも30~40人の僧侶が、濃い柿色の僧服姿でデモに参加した。英語で「軍のクーデターを拒否せよ」と書かれたプラカードを掲げた。「軍事独裁を認めない」との横断幕を持つ僧侶もいた。外国メディアを通じ、国際社会の支援を求めた。拡声器を使い、読経しながら歩いた。

ミャンマーの国民の9割は仏教徒だ。男性は人生で1回は短期間でも出家することが求められる。僧侶は「ブッダの子」として社会の尊敬を集めている。07年に起きた当時の軍事政権に抗議するデモでは多数の僧侶が先頭に立ち、運動が長引く一因になった。

当時は南部のヤンゴンと中部にある第2の都市マンダレーを中心に約40万人の出家僧がいるといわれた。人口は増えており、僧侶の数が減っているとは考えにくい。米中央情報局(CIA)はミャンマーの総人口を足元で、約5700万人と推定している。

国軍は対応に苦慮する。1日のクーデターで全権を掌握したミン・アウン・フライン総司令官は仏教を重視する姿勢を強調しているからだ。同氏は政変後、中部の首都ネピドーの僧院を表敬訪問した。新型コロナウイルス対策で閉鎖されていた各地の寺院を再開した。国軍系テレビは兵士が寺院の清掃に従事する様子を放映した。

16日にスー・チー氏が新たな容疑で訴追されたと明らかになったことにも国民の多くが反発する。同氏が党首のNLDは20年の総選挙で改選議席の8割を獲得した。

国軍は16日の記者会見で全権掌握は憲法に基づく措置で、「クーデターではない」と強弁したが、スー・チー氏が率いた文民政府への民意の支持は明らかだ。

スー・チー氏が輸出入管理法違反に加え、自然災害管理法違反の容疑でも訴追された事実について、米国務省報道官は「困惑している」と語った。ミャンマーの旧宗主国である英国のジョンソン首相は「でっち上げだ」と指摘した。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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