中国、ゼロコロナの追加緩和示唆 安定成長を重視

【北京=川手伊織】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は16日、2023年の経済運営方針を決める「中央経済工作会議」を終えた。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の緩和をめぐり「合理化、調整していく」と指摘。今月7日に発表した緩和策に続く追加措置を示唆した。経済の安定成長を重視する考えだ。
中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。同会議は中国共産党が年に1度、翌年の経済運営の基本方針を決めるために開く経済分野の重要会議だ。15日から2日間開いた。昨年までは3日間の開催だった。今年は北京で新型コロナの感染が広がり短縮した。
景気回復へ企業や家計のマインド改善に力を入れる。ゼロコロナ政策が足を引っ張った消費の回復を優先課題に挙げた。マクロ経済政策は、積極的な財政政策と緩和的な金融政策を続ける。
「重大な経済金融リスクを効果的に防ぎ取り除く」とも強調した。大きなリスクが住宅市場だ。「住宅は住むものであって投機対象ではない」というバブル抑制の文言は踏襲したが、不動産開発企業の資金繰り支援などで市場の安定成長を促すことに軸を置いた。
劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は15日「不動産の下振れリスクに対して新たな措置を検討している」と明かした。
最近の住宅不況は、資金不足で工事を中断する開発企業が相次ぎ、消費者が不信を強めて買い控える例が多い。政府は資金繰り支援で開発企業の信用回復を促せば、新築物件の取引も持ち直すとみている。
もう一つのリスクが地方財政だ。「地方政府の債務リスクは制御できるようにする」と付け加えた。地方財政に端を発した金融不安の芽を摘む姿勢だ。
会議は23年の経済成長率目標も議論したもようだ。政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの張燕生首席研究員は、コロナ規制の緩和などで「23年の5%超えは確実だ」と分析する。
中国社会科学院は5.1%成長と予測。「5%超」という目標を掲げるよう提言した。23年3月に開く全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告で公表する。

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