ディディが配車利用登録を再開 中国、統制強化を転換

【北京=多部田俊輔】中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は16日、利用者の新規登録を再開すると発表した。中国当局は景気テコ入れを狙って段階的にプラットフォーマーと呼ばれるネット大手の統制強化を転換しており、滴滴は2021年7月以来、約1年半ぶりに新規利用者の獲得ができるようになる。
滴滴は中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、「1年余り国家のネット規制当局の安全審査に真摯に従って、審査の中で見つかった安全問題について厳粛に対応して全面的に改善した。ネット規制当局の同意を得て、新規利用者の登録を再開する」などと発表した。
滴滴は21年6月末に米国上場した直後、中国当局からインターネット安全法(サイバーセキュリティー法)違反などの疑いで調査を受け、7月初旬から新規利用者の登録が禁じられ、スマートフォンなどでのダウンロードもできなくなった。
米国へのデータ流出を恐れるネット当局の指導を受けて、滴滴は22年5月に米国上場の廃止を決定。同年7月にはネット安全法などの違反で80億元(約1500億円)の罰金を科されており、ネット当局が指摘した問題などの改善に取り組んでいたとみられる。
滴滴は配車アプリの中国最大手。中国メディアによると、ネット当局の停止措置などで国内シェアは約8割から約7割に低下した。滴滴のアプリは当局の指導によってダウンロードできないが、微信(ウィーチャット)などのミニプログラム上で利用できる。
習近平(シー・ジンピン)指導部は米中対立のなかでネット統制を強化に動き、20年11月、中国ネット大手、アリババ集団傘下の金融会社アント・グループの上場延期を決めた。騰訊控股(テンセント)などにも波及し、独占禁止法違反で罰金などを科した。
ただ、ネット統制の強化はネット大手の活力を損なったうえ、新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ政策」で景気が失速したことから、習指導部は22年4月にネット統制を強化する姿勢を修正し、ネット大手への統制を続けながらも成長を支援する方向に動いている。
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