中国当局、滴滴を立ち入り調査 個人情報の扱い巡り

【北京=多部田俊輔】中国のネット規制当局は16日、中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)に対して立ち入り調査に乗り出したと発表した。当局は同社を国家安全上の理由で審査しており、同社のシステムなどからデータや個人情報の取り扱いに法律違反がなかったかを調べるとみられる。
共産党中央インターネット安全情報化委員会弁公室によると、国家インターネット情報弁公室、公安省、国家安全省、自然資源省、交通運輸省、国家税務総局、独占禁止法などを管轄する国家市場監督管理総局の合計7部門が共同で立ち入り調査を行った。
滴滴は6月30日に米ニューヨーク証券取引所に上場したが、7月2日に中国のネット規制当局が「国家安全法」とネット空間の統制を強化する「インターネット安全法(サイバーセキュリティー法)」に基づいて審査を始めたと発表した。審査期間は最長で45営業日とされる。
ネット規制当局は4日に滴滴のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規則の重大な違反を確認したと発表し、滴滴のアプリのスマートフォンなどでのダウンロードの停止を命じた。滴滴の個人情報の扱いだけでなく、国家の安全にかかわるデータの扱いなどの調査を進めているとの見方も出ている。
工業情報化省情報通信管理局の趙志国局長は16日の会見で、滴滴の問題に関連し、9月施行の「データ安全法(データセキュリティー法)」にあわせ、データ安全管理制度を立ち上げることでデータや個人情報の管理を強化していく考えを示した。
具体的には、データを国家安全上の重要性などから分類して重要データのリストを作成したり、自動車や製造業など業界ごとにデータの重要性を定める基準の制定を検討したりする。データの安全性を認証するシステムも導入する。
アプリに対する統制も強化し、広東省などで6回の大規模な抽出検査を実施したと明らかにした。アプリの数量制限も指導しており、中国でダウンロードできるアプリが350万種類から5月末には302万種類まで減ったとしている。
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