トップ・グローブ、3四半期連続の最終赤字 12〜2月期

【シンガポール=中野貴司】マレーシアのゴム手袋最大手、トップ・グローブが16日発表した2022年12月〜23年2月期決算は、最終損益が1億6466万リンギ(約49億円)の赤字となった。最終赤字は3四半期連続。新型コロナウイルスの感染が下火になって以降、ゴム手袋の需要は低迷しており、赤字が今後も続く可能性がある。
売上高は前年同期比58%減の6億1800万リンギだった。顧客の医療機関などが依然豊富な在庫を抱えており、新規の受注が伸び悩んだほか、販売単価も下落が続き、売り上げの減少に歯止めがかからなかった。
一方、ガスや電気料金の上昇で製造コストは高止まりしたことから、前四半期並み(22年9〜11月期は約1億6800万リンギの赤字)の赤字が続いた。需要の低迷で工場の稼働率は足元で35%程度にとどまっており、トップ・グローブは16日の声明で「厳しい事業環境は2023年を通して継続する見通しだ」と説明した。

リム・ウィーチャイ会長は16日の会見で、早期の収益改善をはかるため、2月から販売価格の引き上げに動いていることを明らかにした。競合のマレーシアや中国企業も価格引き上げを始めているといい、リム氏は「販売価格は底打ちしつつある」と述べた。
一方で、リム氏は「政府の支援を受けた中国企業は急成長しており、マレーシアは競争力を失いつつある」と危機感をあらわにした。マレーシアのゴム手袋企業は人件費が安い外国人労働者を使うなどしてコスト競争力を維持し、世界市場で大きなシェアを維持してきた。中国企業に今後シェアを奪われていくことになれば、ゴム手袋市場の需給が改善しても、十分な収益の回復は期待できなくなる。