北朝鮮、飛翔体発射に失敗か 韓国軍発表

【ソウル=恩地洋介】韓国軍合同参謀本部は16日、北朝鮮が同日午前9時半ごろ、平壌近郊の順安(スナン)空港で飛翔(ひしょう)体を発射したが、直後に失敗したもようだと明らかにした。米韓両国の当局は、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性があるとみて警戒を強めていた。
岸田文雄首相は16日午前、首相官邸で記者団に「報道は承知している。情報収集中だ」と語った。松野博一官房長官は同日の記者会見で「現時点で弾道ミサイルの飛翔は確認されていない」と話した。船舶や航空機などへの被害も報告がないと明かした。北朝鮮の軍事動向を巡り「引き続き米国、韓国などと緊密に連携しながら必要な情報の収集、分析、警戒監視に全力を挙げる」と強調した。
韓国軍関係者は飛翔体について、「上昇しなかった」との見方を記者団に示した。爆発や墜落などの状況については「分析が必要だ」と述べた。
米インド太平洋軍は「北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する」との声明を発表した。
米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は15日、民間の衛星写真を分析した結果として、順安空港にミサイル発射台付き車両(TEL)を置くためとみられるコンクリートの土台が設置されたと報じていた。
日米韓3カ国政府は先に、北朝鮮が2月27日と3月5日に発射した弾道ミサイルに関し、米本土を射程に入れるICBM開発につながる新たな技術を使ったとの分析を公表した。日本の防衛省は、いずれのミサイルも北朝鮮が2020年10月の軍事パレードで公開した新型ICBMだったと判断していた。
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