中国総人口、22年末61年ぶり減少 止まらぬ出生減

【北京=川手伊織】中国国家統計局が17日発表した2022年末の総人口は14億1175万人で、21年末から85万人減った。61年ぶりに減少した。22年の出生数は106万人減の956万人となり、2年連続で1949年の建国以来の最少を記録した。政府は産児制限を事実上廃止したが少子化に歯止めがかからない。
総人口は香港やマカオを除く中国大陸が対象で、外国人は含まない。死亡者数は1041万人で、前年から27万人増えた。死亡者数が出生数を上回ったため、2022年末の総人口は減少に転じた。

国連は22年7月に公表した推計で、同年7月1日時点の中国の総人口が前年比で減少したとしていた。今回、中国政府の統計でも人口減少が確認された。
出生数は6年連続で前年を下回り、1000万人の大台も割った。直近のピークである16年から5割減った。
急速な少子化は長年の産児制限の影響が大きい。中国では1980年ごろから続けた「一人っ子政策」の影響で「子は1人で十分」と考える家庭も多い。政府は2021年、全ての夫婦に3人目の出産を認めて産児制限を事実上撤廃したが、養育費の高さから出産をためらう夫婦も少なくない。
出生数を総人口で割った「普通出生率」は0.677%と、建国以来の最低を更新した。今後は出産適齢期の若い女性が減るため、少子化はさらに加速しそうだ。
長寿化もあって高齢化は進んでいる。22年末時点で人口全体に占める65歳以上の比率は14.9%と、前年末から0.7ポイント上がった。男性の法定退職年齢である60歳以上の比率は19.8%で0.9ポイント上がった。働き手の減少は中長期の経済成長の足かせになりかねない。
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