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中国「コロナ特需」縮小 資源高で減速リスク

(更新)
4~6月まで生産は堅調に推移してきたが…(広東省のリチウムイオンバッテリー工場)=ロイター

【北京=川手伊織】中国国家統計局が15日発表した4~6月の実質経済成長率は、前年同期との比較で7.9%だった。不動産開発や輸出が堅調だった。先行きは資源高が収益を圧迫し投資を抑えかねない。アジア新興国などの生産復調で、他国分も受注していた「新型コロナウイルス特需」が弱まり、年後半の景気減速リスクが高まっている。

季節要因をならした前期比伸び率は1.3%と、1~3月の0.4%から加速した。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)後、新型コロナを警戒した移動制限が緩み経済活動が活発になった。新型コロナの感染が広がる前の2019年の伸びとほぼ並んだ。

けん引役の一つが固定資産投資だ。19年同時期との比較を年平均伸び率でみると、1~6月は4.4%だった。1~3月の2.9%より拡大した。政府が推進する低所得層向け賃貸物件などマンション建設が全体を押し上げた。輸出も景気が急回復する米国向けなどが好調で、4~6月は過去最高を記録した。

4~6月の国内総生産(GDP)は順調な景気の回復ぶりを示した。懸念されるのは持続性だ。21年後半にはリスク要因が山積する。

これまで輸出をけん引した新型コロナ関連の出荷が落ち込みつつある。マスクを含む織物は4~6月に前年同期比3割弱減った。リモート需要が膨らんだパソコンも3%の伸びにとどまった。

主要国でワクチン接種が広がり、サプライチェーン(供給網)が復旧していることも中国輸出の足かせになる。中国企業は20年、世界に先駆けて供給網を復旧させた。アジア新興国などの生産分も受注したことが輸出を押し上げてきた。

製造業購買担当者景気指数(PMI)のうち、輸出に3~6カ月先行するとされる海外新規受注は5、6月と好不調の分かれ目である50を下回った。こうした特需が年後半にはげ落ちることを示唆している。

資源高も企業収益の圧迫などを通じて景気の重荷となる。中小が多い民間企業のうち赤字に陥った企業の割合はなお新型コロナ前を上回る。中国人民銀行(中央銀行)は15日、一部の小型銀行を除き市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」を0.5%下げた。中小企業の資金繰り支援が目的だ。

企業の設備投資は減速している。1~6月は前年同期を0.8%下回り、減少幅は1~5月(0.5%)より拡大した。資源高で収益が伸び悩み資金繰りにゆとりがなくなっている影響もあるが、それだけではない。

業種別にみると、自動車やネットサービスの設備投資が停滞している。丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は「自動車は半導体不足で投資を先延ばししているほか、情報通信は規制当局による監督強化で事業見直しを余儀なくされている」と分析する。

新型コロナの感染拡大もリスクだ。5月下旬から広東省広州市などで感染が広がり、移動制限は消費を下押しした。雇用や所得の回復が遅れ、家計の貯蓄志向は20年の新型コロナまん延をきっかけに強まったままだ。局地的とはいえ感染再拡大は消費者心理を冷やし、GDPの4割近くを占める個人消費が持ち直すハードルとなりかねない。

中国メディアによると、地方政府によるインフラ債(専項債)の発行額は1~6月で1兆143億元(約17兆円)だった。通年計画の28%と、6割前後だった19年と20年に比べて進捗は遅い。景気減速リスクが高まるなか、21年後半はインフラ投資が経済の下支え役として動員されるとの見方も多い。

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