台湾TSMC、日本に新工場「検討段階」 CEOが表明
4~6月純利益11%増、売上高は過去最高

【台北=中村裕】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家・最高経営責任者(CEO)は15日、オンラインで開いた決算発表会見で、日本で初となる新工場建設の可能性について「現在検討している段階だ」と述べた。今後、顧客の需要に基づいて最終判断するという。世界的に需給が逼迫する半導体不足は「年末まで続き、2022年にも影響が及ぶ」との見方を示した。
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同日発表した21年4~6月期決算は、純利益が前年同期比11%増の1343億台湾ドル(約5300億円)だった。売上高は20%増の3721億台湾ドルとなり、四半期ベースで過去最高となった。
スマートフォン向けなどの旺盛な需要が下支えした。売上高の内訳はスマホ向けが42%、パソコンやサーバー向けが39%と合計で8割強に達した。純利益は為替差損などが発生し、四半期ベースで過去最高に届かなかった。売上高純利益率は36%と高水準を維持した。
魏CEOは「今年の世界の半導体市場(メモリー除く)は17%成長する見込みだ。当社の今年の売上高も20%以上増える」と予想した。ただ、21年の設備投資計画は4月に公表した300億米ドル(約3兆3千億円)に据え置いた。7~9月期の売上高は前年同期比14~17%増の146億~149億米ドルと予測した。
米アリゾナ州に建設中の新工場は24年1~3月期に量産を始めるとした。注目される米政府によるTSMCなど半導体業界への補助金関連法案については「米議会上院で可決され、(現在、下院でまだ審議中ではあるが)補助金が承認されることに楽観的だ。米国の政党からも支持が得られると確信している」(劉徳音・董事長)と述べた。
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