「半導体不足は年内続く」 TSMC、投資3.3兆円に上積み

【台北=中村裕】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は15日、2021年の設備投資計画を7%上方修正し、過去最高の300億ドル(約3兆3千億円)にすると発表した。20年比で74%増え、旺盛な需要に対応する。ただ世界的な半導体不足は依然、業界全体で深刻で年内は続くとみている。解消時期はスマートフォン向けなどの先端品が22年、自動車向けなどの一般品が23年になるとの見通しを示した。
魏哲家・最高経営責任者(CEO)が15日に開いた決算の記者会見で明らかにした。
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積極投資は業界全体で進むものの、半導体不足は厳しい状況が続く。魏CEOは「半導体不足の解消が進むのは来年からだろう。新型コロナウイルスの影響による生産活動への不安から、顧客が半導体在庫を必要以上に多く手元に持つことも不足問題に拍車をかけている」との認識を示した。
TSMCの投資は、主に高速通信規格「5G」対応のスマホやサーバーに搭載する高性能な半導体の増産などに充てる見通しだ。新型コロナの感染拡大でパソコンやゲーム機など在宅需要が膨らんでおり、当面、需給の逼迫は続くとみて、投資を一気に拡大する。
今年1月に公表した従来の設備投資計画は280億ドルだった。わずか3カ月間で20億ドルを積み増した。関連する素材メーカーや装置メーカーにも好影響を与えそうだ。
15日に発表した21年1~3月期決算は、売上高が四半期として過去最高となる前年同期比17%増の3624億台湾ドル(約1兆4千億円)、純利益は19%増の1396億台湾ドルだった。
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