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韓国、感染拡大で行動制限再強化 死者・重症が最悪水準

60代以上が全体の3割、ワクチン効果低減でブレークスルー感染

(更新)

【ソウル=細川幸太郎】韓国で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。15日発表の新規感染者数は7850人と過去最多を更新した。ワクチン接種済みの高齢者が「ブレークスルー感染」するケースが多く、重症者、死者ともに過去最悪の水準が続く。政府は11月に始めた経済再開策を中断し、行動制限を再強化する方針だ。

韓国メディアでは文在寅(ムン・ジェイン)政権が誇ってきた「K防疫」の機能不全を指摘する論調が目立ち始めた。感染状況次第では、2022年3月に迫った大統領選挙にも影響する可能性がある。

同日発表の感染者を年代別に見ると60代が19%と最も多く、60歳以上で3割を占める。ワクチンの接種完了から半年ほどがたち、感染や重症化の予防効果が低下している高齢者が多いためだ。

高齢者は重症化しやすいため、重症患者数は前日比58人増の964人と過去最多となり、1日あたりの死者数も70人と深刻な状況が続く。地域別ではソウル首都圏が感染者全体の76%を占めた。ソウル市の重症患者用の病床使用率は89%となっており、入院できずに自宅にとどまる軽症患者も多い。

韓国での新たな変異型「オミクロン型」の感染者数は累計で128人にとどまっており、大半は従来のデルタ型などとみられる。老人ホームや職場、飲食店、マンション共用施設などで多くのクラスター(感染者集団)が発生している。

金富謙(キム・ブギョム)首相は15日午前の対策会議で「私的な集まりの人数や、飲食店の営業時間を制限する案を検討する」とした。首都圏では現在、私的に集まることのできる人数の上限は6人だが、これを4人までに減らす。飲食店は夜10時までの営業制限の再導入が議論されている。

韓国ではワクチン接種率が7割を超えたことから11月1日から「日常回復」を掲げて、飲食店や遊興施設の営業制限などを緩めた経緯がある。

11月初めに1千人台だった新規感染者数は1カ月半で5倍に急増した。政府は感染抑制と経済再開の両立を模索してきたが、重症患者や死者の増加によって再び行動制限を強めるしかないと判断した。

保健当局は感染抑制のためにワクチンの追加接種を急ぐ。接種完了から追加接種までの間隔は当初5~6カ月としていたものの、12月13日から3カ月に短縮した。中高生への感染予防のために学校に医療スタッフを派遣して集団接種も始め、小学生に対しても接種可否を検討する。

ワクチン接種の徹底のために、接種完了や陰性証明の役割を果たす「防疫パス」の本格運用も13日に始めた。飲食店のほか映画館や塾、図書館など不特定多数の人が出入りする場所に適用される。ルールを守らない施設側には罰金150万ウォン(約14万4千円)と営業停止命令の罰則規定があり、利用者側も10万ウォンの罰金が科される。

ただ、ソウル市の感染者に占めるブレークスルー感染の比率は65%に達している。接種完了者の感染も多いことから防疫パスの効果を疑問視する声も多い。

スマートフォンで防疫パスのQRコードなどを表示して確認する仕組みのため、13日の昼食時には多数の利用者がQRコードのシステムにアクセスしたことでサーバーがダウンする不具合も発生した。

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