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北朝鮮、米国に軍事力誇示 ICBM公開せず配慮も

(更新)
14日、閲兵する金正恩総書記(中央)=朝鮮中央通信・朝鮮通信

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮は14日夜、平壌で3カ月ぶりの軍事パレードを開いた。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの新型兵器を公開し、米国のバイデン新政権に向けて軍事力を誇示する狙い。ただ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は公開しないなど米国を過度に刺激しすぎないようにする配慮もにじんだ。

朝鮮中央テレビは15日、パレードの録画を放映した。朝鮮労働党創建75年に合わせて開催した2020年10月と同様、花火やライトアップで夜間演出の工夫を凝らし、ドローンなど撮影技術も駆使した。北朝鮮メディアは「世界最強の兵器が次々と広場に入った」などと伝えた。

閲兵した金正恩(キム・ジョンウン)総書記は双眼鏡をのぞき、満足げな笑顔を浮かべて観衆に手を振った。金正官(キム・ジョングァン)国防相が演説し「敵対勢力が我が国の安全を少しでも侵害するなら、最も強力な攻撃力を先制的に動員する」と述べた。

北朝鮮が党大会に合わせてパレードを開くのは初めて。20日に発足するバイデン米政権を意識したとみるのが自然だ。

指導部にとって最も困るのは「戦略的忍耐」を唱えたオバマ政権のように、米国に無視される展開だ。金正恩氏が12日閉幕した党大会で「最大の主敵である米国を制圧し、屈服させる」と強気の姿勢を示したのは、米国に目を向けさせたいからでもある。

北朝鮮は今回、2つの新型ミサイルを公開した。SLBM「北極星5」は、昨年10月に披露した「北極星4」と比べ弾頭が大きくなった。多弾頭型との見方もあるが、発射実験をしておらず性能は未知数だ。

完成度に懐疑的な見方を示す専門家も複数いる。韓国の国家情報院で分析官を務めた郭吉燮(クァク・キルソプ)氏は「対米圧迫と指導力誇示のため、急いで模型を登場させた可能性がある」と指摘した。

もう一つは、19年以来開発を急いできた短距離弾道ミサイルだ。ロシアの高性能ミサイルに類似し、変則軌道を描いて飛行する「北朝鮮版イスカンデル」改良型は、移動式発射台の車軸が増えた。飛行距離は最大700キロメートル程度だが、性能を向上させれば在日米軍基地が射程内に収まる可能性がある。

金正恩氏は党大会で、米首都ワシントンを正確に打撃できるミサイル技術の獲得に言及したが、パレードに長距離ミサイルは登場させなかった。前回は巨大な新型ICBMを公開していた。

一連の対応には、バイデン新政権の怒りを買わずに出方を慎重に見極めようとする指導部の苦しい心情が浮かぶ。

金正恩氏には最高指導者を引き継いだ直後の失敗の記憶がある。米朝はオバマ政権の12年2月、北朝鮮が長距離ミサイルの発射とウラン濃縮活動を停止し、米国が食糧支援を検討する合意に至った。

しかし、北朝鮮側は1カ月余り後に「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射した。それを機に、オバマ氏は北朝鮮を相手にしない戦略的忍耐へとカジを切ることになった。

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