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ミャンマーデモ死者120人超 国軍、戒厳令6地区に拡大

(更新)
14日、ヤンゴン北西部のラインタヤ地区で負傷者を運ぶデモ隊=ロイター

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーでクーデターを起こした国軍は14日、各地でデモ隊に発砲し、少なくとも38人が死亡した。クーデター発生後の死者数は120人を超えた。最大都市ヤンゴン郊外では、中国系の縫製工場で火災が発生した。国軍は15日、戒厳令の対象地区を広げており、警察任せにせず自ら治安維持に乗り出した。

14日、ヤンゴン市内で負傷者を運ぶ人たち=ロイター

国軍は15日、国営テレビを通じ、最大都市ヤンゴンの4地区で戒厳令を布告したと発表した。14日の2地区と合わせ計6地区となる。対象地区では国軍が行政権と司法権を行使する。警察に代わり、国軍が治安維持で前面に出るとみられる。

民間団体の政治犯支援協会(AAPP)によると、14日には抗議デモの参加者ら少なくとも38人が死亡した。2月1日のクーデター以降で、1日あたりの犠牲者は過去最多と並んだ。

国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は14日の声明で、「安全保障理事会を含む国際社会が自制と対話、人権の尊重を求めているが、無視している」と国軍を非難した。

14日に多くの犠牲者が出たのが、主力輸出産業である縫製工場が密集するヤンゴン北西部のラインタヤ地区だ。同地区だけで22人が死亡、20人以上が負傷した。

SNS(交流サイト)では同地区の橋の上から兵士や警官らが発砲する映像が投稿された。AAPPは「多数の治安部隊が投入され、戦場のような状況」だったと説明した。ラインタヤ地区とシュエピタ地区では、中国系などの縫製工場で火災が発生した。

在ミャンマー中国大使館は14日の声明で「複数の中国系工場が略奪を受け放火され、多くの負傷者が出た」と公表した。中国共産党系メディアの環球時報は15日、ツイッターで「中国企業への攻撃で合計32の工場が破壊され、2人が負傷した」と報じた。被害額は2億4000万元(約40億円)に達したという。

火災の原因や経緯は明らかになっていないが、国軍側はデモ隊による放火だったと説明している。ミャンマーでは「中国が国軍を支援している」との観測があり、民衆の中国に対する感情が大きく悪化している。

中国外務省の趙立堅副報道局長は15日の記者会見で「ミャンマーの各方面が冷静になり、感情の抑制を保つように希望する」と述べた。ミャンマー当局に暴力を制止するあらゆる措置をとるよう求めたという。

中国企業のミャンマー撤退について問われると趙氏は「ミャンマー当局が必要な措置をとり、中国人の安全を守り、類似の事件が二度と起きないように非常に関心をもっている」と語った。

日系企業の工場にも火炎瓶が投げ込まれたとの情報もある。約400社の進出企業でつくるミャンマー日本商工会議所は15日、「多数の死傷者が出ていることを深く憂慮する」との声明を出した。

国軍は14日夜、クーデター後で初となる戒厳令を出した。火災の際に「暴徒が道路を封鎖し、消防隊の通行を妨害した」ためという。15日には携帯通信回線を通じたインターネットへの接続を日中も遮断した。これまでは夜間(午前1時から同9時)だけだった。夜間と異なり、固定のネット回線は稼働している。

一方、国軍に拘束されている民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)の議員らでつくる「連邦議会代表委員会」(CRPH)は14日、「市民には命や財産を守る権利があり、自衛のための行動は犯罪に当たらない」と主張した。抵抗姿勢を崩しておらず、15日以降、衝突が激化する恐れもある。

15日には、スー・チー氏を巡って裁判所の審理がビデオ会議方式で開かれる予定だった。スー・チー氏の弁護士によると、インターネット遮断の影響で同日の審理は中止になった。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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