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インド、ワクチン供給追いつかず 44歳以下の接種先送り

(更新)

インドで新型コロナウイルスのワクチンが枯渇し始めている。世界最多の感染拡大ペースが続くなかでワクチンの供給が追いつかず、首都ニューデリーや商都ムンバイなどで44歳以下の接種を先送りするケースが相次ぐ。ワクチンの接種が進まないと感染拡大に歯止めがかからないため、医療システムがさらに逼迫する恐れもある。

インドは16日の1日あたりの新規感染者が約31万人。デリー首都圏政府は同日、ロックダウン(都市封鎖)の終了予定を17日から24日に延長した。インド政府は3月から高齢者のワクチン接種を始め、4月には45歳以上に対象を広げた。5月から18~44歳も可能になったが、市民の間でワクチン需要が急増したことから供給不足に陥っている。

「5月9日から1日に10回以上はワクチン接種の予約を試みているが成功しない」。ニューデリーに住むアクシ・シン氏(34)はため息をもらす。ワクチン接種は専用サイトから登録を進める仕組みだが、自宅周辺の病院は予約がとれない。友人や家族が相次いで感染し、接種できないことに不安を強めている。

インドメディアによると、デリー首都圏政府はワクチン不足を踏まえ、18~44歳が活用する約100カ所の接種会場を既に閉じたという。マハラシュトラ州政府も商都ムンバイで18~44歳の接種を先送りすることを決め、まずは45歳以上を優先する方針だ。

インド政府によると、60歳以上のワクチン接種は13日時点で累計7151万回、45~60歳は6509万回、18~44歳は391万回にとどまる。インド全土でのワクチン接種率は4月下旬で約1割にすぎない。インド政府は当初、8月ごろまでに3億人の接種をめざしていたが、計画は大幅に遅れている。

背景にはワクチンの接種計画をめぐる中央政府と地方政府の摩擦もある。

インドは国産ワクチンメーカーが2社あるが、生産量のうち半数を中央政府に安価で回し、残りを地方政府や民間病院に高く売るという制度を導入している。このため財政基盤の弱い地方政府はワクチンを確保するのが難しい。

ロシア産のワクチン「スプートニクV」もインド市場に近く登場するが、ワクチンの安定供給にほど遠い状況だ。

インドのワクチン不足は南アジアの近隣国にも影響を及ぼしている。インド政府は1~3月の間にネパールやバングラデシュなどにワクチンを積極的に輸出していたが、足元では新たに供給できない事態が続く。ネパールはインドからの変異ウイルスの流入で感染が拡大しているものの、インドと同じようにワクチン接種がなかなか進まない。(馬場燃)

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