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ベトナム共産党、チョン書記長が続投 異例の3期目

(更新)
高齢のチョン書記長㊥は一時、引退するとの観測があった(31日、ハノイ市)=国営ベトナム通信

【ハノイ=大西智也】ベトナム共産党の第13回大会は31日、序列1位で同国の最高指導者である書記長に現職のグエン・フー・チョン書記長(76)の留任を決めた。党規約は書記長任期を「連続2期10年」に制限するが特例を認めたもようだ。新型コロナウイルス感染が終息しない非常時で安定を優先した。汚職撲滅や経済政策などの手腕も評価されたとみられる。

1976年の南北ベトナム統一後、書記長が3期目に入るのは初めて。5年に1度開かれる党大会最終日の2月1日、続投が正式に報告される。チョン氏は2019年4月の地方視察で体調を崩し、高齢のため一時は引退するとの観測もあった。健康不安説は残る。

チョン氏は首都ハノイ市トップの党委員会書記や国会議長などを経て11年から現職。一党支配体制を揺るがしかねない党幹部などによる汚職の撲滅に力を注いできた。前回16年の党大会では書記長を目指したグエン・タン・ズン首相(当時)を引退に追い込んだ。

同時にチョン氏率いる指導部はバランス外交を重視して自由貿易を推進した。2020年のベトナムの実質成長率は2.9%で東南アジア主要国では最高になったもようだ。入国規制や隔離などを徹底して新型コロナの抑制でも成果を挙げ、累計の感染者は現時点で2000人未満にとどまる。

書記長はベトナムの最高指導部と呼ばれる約20人の政治局員のなかで最重要で、「四柱」と呼ばれるポストの一つ。ほかは元首の国家主席にグエン・スアン・フック首相(66)、首相はベトナム日本友好議員連盟会長でもあるファム・ミン・チン党中央組織委員長(62)、国会議長には副首相の経験者でハノイ市トップのブオン・ディン・フエ同市党委員会書記(63)が就く見通しだ。

書記長以外の3ポストは党大会後に招集される国会で正式決定する。チョン氏が書記長を退く場合、後任の有力候補の一人になるといわれたチャン・クオック・ブオン党書記局常務(67)は引退する見通しだ。

ベトナムは共産党が一党支配するが、集団指導体制だ。共産党の国にありがちな「独裁者」を生まないようにしてきた。

チョン氏は18年10月、在任中に死去したチャン・ダイ・クアン氏の後任として国家主席を兼任した。党と政府の双方でトップに立ったことで集団指導体制が変わるのではないかとの観測も浮上したが、今回の人事では四柱を4人で分け合った。

新指導部体制では出身者の地域バランスが崩れた。ベトナムは統一前、社会主義陣営の北部と、自由主義陣営の南部に国が分かれ、戦火を交えた。1975年、米国が支援した南部の首都サイゴン(現ホーチミン市)が陥落し、ベトナム戦争は終結した。国土を統一した共産党にとって、南北の融和が重要な政治課題の一つだとされてきた。

ベトナム戦争に勝利した北部出身者が書記長を占めることが多いが、四柱の重要ポストは北部、中部、南部出身者に分配してきた。新たな四柱人事ではチョン氏も含めた北部が2人、中部は2人で、南部出身者を登用しなかった。商業都市のホーチミン市などを抱える南部地域からは早くも不満の声が出ている。

党の指導を重視する機運は北部より南部が弱いとされる。失脚したズン氏はこうした南部の雰囲気をまとっていたといわれ、党を政府より優先して国造りを進めてきたチョン氏が危機感を抱いたとの観測もある。

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