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香港、狭まる出版の自由 見本市で出版社が自己検閲

政治本の販売をやめたと話す次文化堂の彭志銘社長

【香港=木原雄士】香港で出版や言論の自由が失われつつある。14日に始まったアジア最大級の書籍見本市「香港ブックフェア」では、政治本の販売を見合わせる動きが広がった。香港大学キャンパスでは11日、著名な「民主の壁」から政治的なメッセージが一斉に撤去された。

ブックフェアの開催は2年ぶり。香港国家安全維持法(国安法)の施行後では初めてで、大規模デモに関する書籍など政治本の取り扱いに注目が集まっていた。毎年出展する次文化堂の彭志銘社長は「すべての参加者が自己検閲をしている」と話す。「何が国安法に違反するか分からない。トラブルになりそうな本は売りたくない」という。

アグネス・チャン氏の書籍を紹介するコーナー

主催者の香港貿易発展局は事前の検閲を否定したうえで「国安法違反の本は売られるべきではない」とコメントした。中国共産党に批判的な書籍を販売すれば、当局に通報されるとの見方が広がる。彭氏は今年、天安門事件や大規模デモ、香港の政治状況に関する本の販売を見合わせることにした。

香港では国安法施行前から主要な書店チェーンは中国政府の傘下にあり、政治的な書籍は雑居ビルに入る独立系書店で入手するしかなかった。同法施行後、活動家の本が図書館で閲覧できなくなるなど自由が失われつつある。

一方、ブックフェア会場の一角には香港出身のタレント、アグネス・チャン氏の書籍を大々的に紹介するコーナーが設けられた。同氏は林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に教育改革を提言するなど政府と良好な関係とみられている。

香港大学の「民主の壁」から政治的なメッセージが消えた(13日)

大学の自由も揺れている。香港大学は11日、学生らがポスターを張るなど自由に使っていた「民主の壁」から政治的なメッセージをすべて撤去した。同大は13日、民主派寄りのスタンスで知られる学生会について「もはや存在を認めない」と、関係を断ち切ると発表した。学生会は警察官を刺して自殺した男に好意的な声明を出したとして、親中派などから批判を浴びていた。

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