米香料大手IFF、シンガポールに研究開発拠点

【シンガポール=谷繭子】香料世界最大手の米IFFは13日、同社にとってアジア最大となる研究開発拠点をシンガポールに開設した。2021年に同国西部に新設した酵素工場と合わせ、計3千万ドル(約44億円)を投資した。東南アジアを中心に中間所得層が拡大するなか、現地の嗜好に合わせた製品開発につなげる。
新たな拠点は同国中央部のバイオ・医薬企業が集まるバイオポリス地区に設けた。床面積は約1万1000平方メートルで、食品や化粧品向けの香料などの研究や商品開発、試験を行う。
アジアの消費者の好みは欧米と異なり、国や地域によっても差がある。アジア各国の経済成長に伴い、IFFの顧客である食品・日用品メーカーは現地向けの製品開発を強化する。IFFは新拠点で顧客との共同開発も手掛ける。
植物由来の代替肉や培養肉について、食感や風味を肉そのものに近づける研究開発にも乗り出す。シンガポールは政府の誘致・支援策でこうした分野の企業が増えており、需要が見込めるという。
IFFは米化学大手デュポンの栄養・バイオ科学部門を21年に買収。シンガポールの酵素工場はデュポンから引き継いだもので、飼料や食品、洗剤などに使う酵素の生産を同年に開始した。インドネシアのジャワ島でも8700万ドルを投資し、食品向け香料工場を拡張している。