ミャンマー国軍、僧侶ら約30人殺害か 北東部シャン州

【ヤンゴン=新田裕一】クーデターで全権を掌握した国軍への抵抗を続ける民主派の武装組織は13日までに、ミャンマー北東部シャン州で僧侶を含む市民ら約30人が国軍に殺害されたとする声明を発表した。ミャンマーでは今月初めにも別の地域で17人が軍に殺害されたと報じられている。
声明を出したカレンニー民族防衛隊(KNDF)によると、国軍は11日午後、シャン州南部の村に空爆や砲撃を加えた後、村に侵入。僧院の建物内に避難していた少なくとも28人の市民と3人の僧侶を連れ出し、僧院の前で殺害に及んだ。KNDFは翌日、国軍部隊が撤収した後に村に入り、28人の遺体を確認したという。
KNDFはSNS(交流サイト)に殺害現場とされる写真を投稿した。僧侶を含むいくつもの遺体が建物前で血を流して倒れており、背後の壁には銃弾でできたとみられる穴が開いていた。
国軍は2月、非常事態宣言を6カ月延長すると発表した。治安回復を最優先に掲げ、戒厳令の適用地域を拡大。民主派が結成した国民防衛隊(PDF)や協力する村などへの攻撃を強めている。
現地メディアやAP通信は3月上旬、民主派勢力と国軍が激しく衝突している北西部ザガイン地域の複数の村で少なくとも17人が殺害されたと報じた。
現地の人権団体、政治犯支援協会によると、2021年2月のクーデター以降、13日までに国軍に殺害された市民は3124人に達している。
ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。