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中国「環境株式指数」創設へ ESGマネー呼び込み

中国共産党政権は気候変動対応に役立つ銘柄を集めた「環境株式指数」を創設する。機関投資家などのESG(環境・社会・企業統治)投資をひき付ける狙いだ。融資や債券市場だけでなく株式市場も通じて環境分野に多くの資金が流れるようにし、二酸化炭素(CO2)の排出削減につなげる。

党と国務院(政府)がこのほど、生態保全や修復に関する制度改革の方針を公表した。環境分野の資金調達やエネルギーの効率利用を促すため、市場機能をより活用していく姿勢を示した。

株式マネーの誘導をめぐっては深圳と香港の証券取引所に8月、「環境金融指数」が上場した。環境融資に注力する金融機関など50銘柄を集めた。新たな環境株式指数の具体的な対象は未定だが、気候変動対応に貢献する幅広い銘柄を組み込むとみられる。国内外のESG投資を引き込みたい考えだ。

中国政府は環境分野への融資や環境債(グリーンボンド)の発行を促してきた。中国の債券市場で国内外の事業を対象に発行した環境債の累計発行額は2020年に1兆1313億元(約19兆円)に達したとの試算もある。16年から5倍近く増えた。

中国人民銀行(中央銀行)によると、クリーンエネルギー産業向けの融資残高は20年末に3兆元を超えた。エネルギー消費量が多い鉄鋼、石炭、非鉄金属の3業種向けの合計を上回った。

7月に始まった全国統一のCO2排出量取引も拡充する。先物取引も導入し、取引に厚みを持たせる。林業や再生可能エネルギー、メタンガス利用といった事業も取引市場に組み込む。これらの事業が実現したCO2の削減・吸収量を発電会社などが購入し、自社の排出分と相殺できるようにする。

今回の制度改革は「エネルギー利用権の取引市場の建設を急ぐ」という文言も盛り込んだ。エネルギー消費量を企業などに割り当て、過不足分を取引する仕組みだ。市場機能を活用してエネルギーの利用そのものを効率化させていく考えだ。

エネルギー分野の関係者は「鉄鋼や非鉄金属、セメントなどエネルギー消費量が多い産業の反発など難題は多いが、政権として気候変動対応の重要性を改めて打ち出した」と分析する。

中国のCO2排出量は世界の3割近くを占める。習近平(シー・ジンピン)国家主席は「30年までにCO2の排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」との目標を掲げる。

習氏は10日のバイデン米大統領との電話協議で、米中が協力できる分野の一つとして気候変動対応を挙げた。温暖化ガス排出削減目標の深掘りには否定的な構えをみせたが、市場機能の活用など制度改革は環境対応への本気度も示す。人権問題やハイテク分野で対立する米国と対話のパイプを安定させたいとの思惑も透ける。

もっとも海外投資家は「先進国に比べて中国企業のESGへの取り組みは遅れているという評価が一般的」(三井住友DSアセットマネジメントの上原義信シニアファンドマネージャー)とみる。環境債の発行額では世界上位に入るものの、買い手は中国国内の投資家が中心になっている。海外勢は米MSCIなどグローバルな指数を参照しており、開発する中国独自指数がどこまで利用されるかは不透明だ。

(北京=川手伊織、ESGエディター 松本裕子)

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