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中国「片付けは自分で」しつけを法律に 学力偏重是正

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【北京=川手伊織】中国政府はしつけなど家庭内の教育を充実させる法律を定める。道徳や正しい生活習慣のほか、中国共産党への愛党精神も教えるよう求める。教育熱が高い中国では、子の学習成績ばかりに気を取られ、しつけを含めて教育を学校任せにする家庭も多い。保護者の意識を高めて、子どもの学習負担を軽減する狙いだ。

17日に始まった全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で、家庭教育促進法案を審議する。今年1月に続く2回目の審議で、年内に成立する公算が大きい。

法案では家庭内教育の内容を例示する。高齢者や幼い子を大事にし、勤勉節約に努めるという道徳心や、適度な学習や運動、睡眠など規則正しい生活リズムの大切さを教えるよう促す。

未成年の子に部屋の片付けなどを他人任せにさせないよう責任感を持たせることも明記した。中国国民としての意識教育も要求する。具体的には党や国、社会主義を愛し、国家統一と民族団結を守る概念を掲げた。

法施行後は、国務院(政府)が家庭内教育の推進に関する大枠を策定する。大枠に沿って小中学校や幼稚園、町内会組織が保護者に対してどのように子に教えるべきかなどを助言する。法案は学習塾業界の参入を念頭に、営利目的で保護者への支援活動を行うことを禁じる。

農村では、親が都市部に出稼ぎに出て祖父母と生活する「留守児童」も多い。中国の離婚率は高く、実の親と別々に暮らす子も少なくない。地域社会は家庭の実情に応じて対応策を練る。

中国政府が家庭内の教育に手取り足取り関与するのは、過剰な教育熱などが深刻になっていると捉えているためだ。長年の産児制限で一人っ子が圧倒的に多い中国では子どもにかける期待が大きい。教育コストの高騰を招き、若い夫婦が出産をためらう主因となっている。

少子化対策として教育コストを抑えるため、政府はすでに一部の学習塾を非営利団体に転換させるなど規制を強めている。親子の意識改革も教育熱を冷ますうえで欠かせないとみる。

中国の若年層では、就職難や生活コストの高騰という現実を前に働く意欲すら乏しい「寝そべり族」が増えている。少子化で労働力人口が減少の一途をたどるなか、若者を巡る社会問題も家庭内での基礎教育を立て直そうとする動機だ。

住宅ローンの返済など生活コストが高い都市部では、夫婦が共働きで祖父母が幼い子の面倒をみることが一般的だ。「子の教育はすべて学校が責任を負うべきだ」と考える保護者も少なくない。親の関心が薄い結果、ネットゲームによる生活リズムの乱れや未成年の常識欠如を問題視する声は多い。

1月時点の草案では、警察や裁判所が子の素行が悪い保護者に対して、家庭教育に関する指導を受けるよう強制できるとしていた。警察などの命令に従わない場合、罰金や拘留の処分も可能と盛り込んでいた。「家庭教育に国が過度に介入すべきではない」との声が出て、8月時点の草案は処分に関する規定を削除したものの、介入に対する疑問は根強い。

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