SMエンタ、カカオが経営主導へ BTS事務所が買収中断

【ソウル=細川幸太郎】韓国芸能事務所SMエンターテインメントの経営権を巡る争いで、ネット大手のカカオが経営を主導する見通しとなった。「BTS(防弾少年団)」を擁するHYBE(ハイブ)が買収手続きを中断し、カカオと協業すると発表した。K-POP産業の老舗企業の争奪戦は収束に向かう。
HYBEは12日に「市場が過熱しSMエンタ買収のための提示価格が適正範囲を超えた。このままではHYBEの株主に悪影響を及ぼしかねない」とし、買収手続きを中断すると発表した。カカオ側も同日、「HYBEをパートナーとしてK-POPのグローバル地位向上のために協力関係を続ける」とした。
SMエンタを巡っては、HYBEが2月に12万ウォンでTOB(株式公開買い付け)を実施し、その後にカカオが15万ウォンでTOBを宣言した経緯がある。市場ではHYBEの対抗TOBへの期待から株価は15万ウォンを上回って推移し、カカオのTOB成功が危ぶまれていた。

HYBEが譲歩の姿勢を示したことで13日のSMエンタ株の終値は前週末比23.5%安の11万3100ウォンに急落した。カカオは26日を期限として1株15万ウォンでSMエンタ株を35%まで買い進めており、現状の株価水準であれば既存株主はカカオのTOBに応じる公算が大きい。
一方のHYBEはSMエンタ株の15.8%を取得済みで、大株主として同社と協業する。HYBEはアーティストとファンのSNS(交流サイト)機能を持つプラットフォーム「ウィバース」を運営しており、同サービス上での連携を模索する。
HYBEは3月31日のSMエンタ株主総会に向けて提案した「経営陣の刷新」を取り下げる方針で、カカオと繰り広げた委任状争奪戦(プロキシーファイト)は収束する見通しだ。