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北朝鮮の新型巡航ミサイル、日本列島射程か

「1500キロ飛行」主張、軍備増強を誇示

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9日の軍事パレードは民兵や警察の武力組織が主体で弾道ミサイルは登場しなかった(平壌)=ロイター

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮が13日、新型の長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと明らかにした。1500キロメートル飛行し目標に命中したと主張しており、射程に入る日本の新たな脅威となり得る。日米韓の高官協議など周辺国の外交日程に合わせた可能性もあり、国際社会に軍備増強の意志を誇示する意図があるとみられる。

朝鮮中央通信によると、発射実験は兵器の開発機関である「国防科学院」が11、12両日に実施した。ミサイルは「楕円および8の字」の軌道を、2時間6分20秒にわたり1500キロメートル飛行し目標に命中。ターボファンエンジンの推力などで設計上の要求を満たしたと主張している。

北朝鮮は落下地点などの情報は公開せず、日本政府も排他的経済水域(EEZ)などへの飛行は確認していない。北朝鮮の主張が事実であれば、日本列島が射程に入る。

北朝鮮が11日、12日に実施した新型長距離巡航ミサイルの発射実験(朝鮮通信)

金正恩(キム・ジョンウン)総書記は年明けの朝鮮労働党大会で、多様な核攻撃手段を開発すると表明した。朝鮮中央通信によると、党大会では「国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画」が示された。巡航ミサイルの開発事業はその一環で「敵対勢力の動きを制圧する戦略的意義を持つ」と伝えた。

ミサイルの性能は米韓軍が分析中だが、一般的に地表から100メートル程度の低高度で飛ぶ巡航ミサイルは、レーダーで捕捉が難しい。軍事専門家には、今回のミサイルが米軍の「トマホーク」に類似しているとの見方がある。

米韓両軍は今回、ミサイル発射情報を発表していなかった。韓国の専門家の一人は「韓米日はいずれも、ミサイルの探知に失敗した可能性が高い」と指摘した。米インド太平洋軍は声明で「北朝鮮が軍事開発に注力し、国際社会への脅威であることを示す」と警戒感をあらわにした。

北朝鮮は8月に米韓両軍が合同軍事演習をした際、対抗措置を予告していた。このため、周辺国の当局は北朝鮮が遠からず挑発行動に踏み切る公算が大きいとみていた。

北朝鮮は周辺国の注目を浴びるタイミングを狙ったとみられる。

14日は日米韓高官が都内で北朝鮮対応を協議する予定で、米国のソン・キム北朝鮮担当特使や韓国の魯圭悳(ノ・ギュドク)外務省朝鮮半島平和交渉本部長が日本を訪れている。さらに、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相も14日に訪韓する日程がある。

最近では国際原子力機関(IAEA)の報告書で、北朝鮮が7月以降、北西部の寧辺(ニョンビョン)核施設で原子炉を再稼働させた兆候があることも判明した。バイデン米政権が真剣に北朝鮮との非核化交渉に臨むよう、核とミサイルの新たな交渉カードを積み上げる狙いとも読める。

静岡県立大の小川和久特任教授は北朝鮮側の意図について、軍事力整備の着実な推進を発信する一方で「国連安全保障理事会の決議違反に当たらない巡航ミサイルを使い、バイデン政権の反応を探った」と指摘する。9日の軍事パレードは「新型コロナウイルス禍で経済が疲弊するなか、民兵組織の士気を高める意味合いがあった」とみる。

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