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豪、兵器調達で脱米国依存 有事にらみ国内生産

【シドニー=松本史】オーストラリアが兵器調達で米国頼みからの脱却に動き出した。ミサイルなど誘導兵器の国内生産のため10億豪ドル(約840億円)を投じて生産企業を設立する計画だ。米中の対立が深まる中、有事をにらみ調達不安を解消する狙いがあるとみられる。

「ワクチンであろうと防衛であろうと(他国に依存せず)自立できる能力を持つことは、変化を続ける世界の中で重要だ」。モリソン豪首相は企業設立を発表した今春にこう強調した。ダットン国防相も「世界の供給網が断絶した際、戦闘能力を維持するために適切な武器の供給能力を持つ」と説明した。

念頭にあるのはインド太平洋地域で台頭する中国の存在だ。豪州と地理的に近く関係が深い太平洋島しょ国で中国は積極的なインフラ支援を行い影響力を強めている。

豪戦略政策研究所のシニア・アナリスト、マーカス・ヘリヤー氏(防衛政策)は豪州はミサイルに関して「ほぼ米国頼みだ」としたうえで、「インド太平洋地域で衝突があれば、米国の防衛企業は自国への供給を優先する」と説明する。軍事拠点化を進める南シナ海や台湾での有事をにらみ、米国で開発済みのミサイルの「第2の生産ラインを国内に作り、必要なら他国にも輸出する」狙いがあると見る。

今後、国防省が国内でのミサイル製造に向けた戦略パートナー企業を選定する。米防衛大手のロッキード・マーチンやレイセオン、英BAEシステムズの名前が挙がっている。関係者は「早ければ2年以内に生産が始まる」とみる。

新型コロナウイルス禍であらわになった供給網断絶への警戒感もある。3月上旬、イタリア国内で生産する英製薬大手アストラゼネカのワクチンについて、イタリア政府が、豪州への輸出を阻止したと報じられた。同月下旬にはスエズ運河で大型コンテナ船が座礁。「必要な物資を必要な時に得られるわけではないと誰もが理解した」(防衛関係者)という。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2016~20年豪州は世界第4位の武器輸入国だ。豪州の政策に詳しい防衛省防衛研究所の佐竹知彦主任研究官は「豪州はコロナ後の状況や対中関係の悪化を踏まえ、供給網多角化と国内製造業の再活性化を図っており、防衛産業も重要優先項目の1つだ」と指摘する。

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