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中国地方政府、3割に破綻リスク 民間試算

住宅市場の調整が打撃 地方債の利払い負担重く

【北京=川手伊織】中国で地方財政の破綻リスクが上昇している。米S&Pグローバルは、地方政府の最大3割が2022年末時点で、歳出削減など早期是正措置を求められる水準まで財政が悪化すると試算した。住宅市場の低迷で土地収入が落ち込み、インフラ債などの利払い費が膨らむためだ。新型コロナウイルスの封じ込めに必要な財政負担も重い。

地方財政の破綻をめぐっては、黒竜江省の旧産炭地、鶴崗市が21年12月、財政再建計画の実施を公表した。人口流出などで財政が極度に悪化し、国務院(政府)が16年に定めた早期是正基準に抵触したためとみられる。

中国の財政には、一般会計に相当する「一般公共予算」や、特別会計にあたる「政府性基金」がある。国務院は、各会計で地方債の利払い費が歳出全体の10%を超えた場合、「財政再建計画を発動しなければならない」と規定している。

S&Pグローバルは、約300ある省直下の行政単位、地級市などの地方政府を対象に、国務院の規定に抵触するかどうかを調べた。その結果、政府性基金において利払い費の比率が上昇し、早期是正の基準を超す地方政府が急増することがわかった。20年は調査対象の5%未満にとどまったが、22年は最大で3割近くに達する見通しという。

増加の一因として、住宅市場の低迷がある。地方政府が不動産開発会社に土地使用権を売って得る収入が落ち込んでいる。収入減に伴い土地整備などの支出が減る。土地収入に対応する関連支出は1~6月、前年同期比6%減った。

地方債の発行残高がかさみ、利払い費が膨らんでいることも一因だ。国務院は景気刺激策としてインフラ建設を進めてきた。地方政府は必要資金を調達するため、政府性基金で管理するインフラ債の発行を急増させた。

インフラ債の残高は19年以降、年3~4割のペースで増えてきた。地方債全体の残高に占める比率は5月末時点で57%と、17年末から20ポイント上がった。

ただS&Pグローバルは「新型コロナのまん延などの緊急時において、中央政府などが厳格に10%基準の適用を求めないことも考えられる」とも指摘した。

地方政府には、新型コロナの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策の財政負担も重くのしかかる。例えば、北京市では飲食店や公共施設に入る際に、72時間以内のPCR検査の陰性証明を提示する必要がある。無料検査のコストは地元政府が負担する。

中国の証券会社、東呉証券は、北京や上海のほか省都クラスの大都市が大規模なPCR検査を常態化させると、年間のコストが最大で1兆7000億元(約35兆円)になると予測する。

ゼロコロナ政策の負担増も踏まえ、不要不急の歳出を削減するため当初予算を修正する都市もある。重慶市は一般公共予算の1.4%に相当する50億元の支出を削減する。市政府の会議や出張など経常経費を抑える。生活保障や義務教育など市民生活に直結する基礎的な支出を除き、多くの分野で歳出を減らす。50億元は予備費にあたる基金に計上する。年後半の財政状況も踏まえ、必要に応じて活用し歳入不足を補う方針だ。

江蘇省蘇州市も予算を修正した。詳細は未公表だが、同市財政局によると、市職員の交際費や出張費のほか、緊急性のない事業の歳出を圧縮するという。雲南省昆明市も当初予算の修正を通じ市民の生活に直結する事業以外の歳出を絞り込む方針を示した。

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