10月の中国人民元建て融資、4年10カ月ぶり低水準

【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)が10日発表した10月の人民元建て融資の純増額は前年同月比26%減の6152億元(約12兆円)だった。4年10カ月ぶりの低水準にとどまった。不動産市場の調整に終わりが見えず、住宅ローンの借り入れが大幅に落ち込んだためだ。

個人向け融資の落ち込みが目立った。住宅ローンが大半を占める中長期資金の融資は92%減った。景気停滞による先行き不安で住宅販売の減少に歯止めがかかっていない。
個人向け融資全体では180億元のマイナスとなった。マイナスは借り入れよりも返済が多いことを示す。将来所得への懸念から手持ちのローンを返済する動きが広がっている可能性がある。
対照的に、企業向けの中長期資金の貸し出しは前年同月の2.1倍に増えた。政府が政策金融機関を通じて、インフラ建設や未完成マンションの工事再開を促す金融支援を強化している。国有銀行の動員で景気をテコ入れしようとしていることがうかがえる。