ドゥテルテ氏「米に軍事協力も」 ウクライナ危機波及なら

【マニラ=志賀優一】フィリピンのドゥテルテ大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻の影響がアジアに波及した場合「米国がフィリピンの軍事施設を利用できるようにする用意がある」と発言したことがわかった。国営メディアのフィリピン・ニュース・エージェンシーなどが11日までに報じた。両国は軍事同盟関係にある。
ロムアルデス駐米フィリピン大使が現地メディアなどに対し、直近のドゥテルテ氏の発言を明らかにした。ロムアルデス氏は「起こらないことを祈ろう」と前置きしたうえで「もしもアジア地域に(ウクライナ危機が)波及した場合、大統領は決断する必要性をわかっている。米国とは相互防衛条約を有しており我が国の決断は明らかだ。大統領は(軍事)施設の利用を認めると言った」と説明した。
北部ルソン島にあるクラークの空港やスービック湾の港など、かつて米軍基地があった場所が候補に挙がるという。
「アジアへの波及」が具体的にどのような状況を指すのかは言及しなかったが、東南アジアでは中国が南シナ海の広範な海域で領有権を主張し、フィリピンを含む周辺国が反発している。台湾との統一を目指す中国がより強気になる可能性も懸念されている。
もっとも、2016年に大統領に就任したドゥテルテ氏が安全保障面で米国と協力する姿勢を打ち出すことは珍しい。米国との軍事同盟の維持に欠かせない「訪問軍地位協定(VFA)」の存続が危ぶまれた時期もある。一転して米国との同盟関係を強調した格好だが、中国が強く反発する可能性もあり、実現するかは不透明だ。

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