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新捜査機関、中立性に懸念も 文政権の検察改革

9日、韓国国会で新捜査機関設置に反対する保守系議員=聯合・共同

【ソウル=恩地洋介】韓国で政府高官の汚職などを捜査する新組織の発足が決まり、政権与党は捜査を指揮するトップの人選に入った。検察が独占してきた捜査権は今後、新組織と警察に大幅に移譲され、犯罪捜査の体系が大きく変わる。司法関係者からは捜査の中立性を担保できるのか懸念する声も上がっている。

10日の韓国国会で「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」の改正設置法が成立し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2021年1月の発足を目指すよう指示した。処長は国会の委員会が推薦する2人の中から、大統領が選んで任命する。

革新系与党「共に民主党」の院内代表は11日、推薦委員会を早期に開くよう国会議長に要請すると表明した。改正法により候補者は事実上、与党の方針で選ばれる。検察と対立する秋美愛(チュ・ミエ)法相に近い弁護士らが有力候補に浮上している。

大統領経験者を次々と逮捕するほど強い力を持つ韓国検察は、公捜処の発足と同時に権限をそがれる。大統領や国会議員、政府高官とその家族の汚職や権力乱用事件を優先的に捜査する権限は公捜処にあるため、検察は独自に要人の捜査ができなくなる。

検察と警察の関係は「捜査指揮」から「協力」へと変わる。検察の支配下にあった警察は刑事事件を独自に捜査できる権限を与えられ、自らの判断で捜査を終結することが可能になる。

検察が独自捜査できる範囲は一般公務員の汚職や大型の経済事件、選挙犯罪などに限られる。韓国法務省は公捜処設置と警察への捜査権移譲により、19年に5万件あった検察の直接捜査事件が84%減の8千件余りにとどまるとみている。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長は、文政権が月城原発1号機の廃炉を決めた過程の不正に関する捜査を指揮している。大統領府の関与に矛先を向けていたが、今後の捜査も公捜処に移管される可能性が高い。

政権側は公捜処を設置する狙いを「検察の独走をけん制するため」と説明する。公捜処は40人規模の捜査官で発足するが、設置法はこのうち検事の比率を5割未満と定めている。

専門家には「公捜処は大統領直属の捜査機構になる」(保守系の弁護士)と危惧する声がある。大統領に近いトップが選ばれ、親政権の弁護士らを幹部や捜査官に任命することもあり得るからだ。11日付の保守系紙・朝鮮日報は、与党内で尹検察総長を最初の捜査対象とするよう求める声が出ていると報じた。

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