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元徴用工問題、具体策議論なく 3年ぶり日韓首脳会談

政権基盤が進展左右

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【プノンペン=恩地洋介、重田俊介】岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は13日、プノンペンで会談した。日韓首脳の正式な会談は2019年12月以来3年ぶり。元徴用工を巡る訴訟問題で「早急な解決」へ協議を続けると確かめたものの具体案には踏み込まなかった。

日本側は韓国側が解決策を示すことを首脳会談の前提にしてきた。日韓外交当局の幹部によると会談で具体策を巡るやりとりはなく、当局間の調整を継続するとの内容にとどまった。合意時期を示せる段階でないという。

喫緊の安全保障協力のため意思疎通を優先した。ミサイル発射を続ける北朝鮮を非難した。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携で一致した。

自民党の麻生太郎副総裁が2~3日に訪韓し、前さばきした。海上自衛隊が6日に開いた国際観艦式には韓国の艦艇が7年ぶりに参加し、安保協力の姿勢をみせた。

尹政権は5月の発足後、元徴用工問題を巡り文在寅(ムン・ジェイン)前政権が放置した解決策の検討に着手した。日本企業の賠償を財団が肩代わりする方式を検討する。専門家や一部原告が参加する官民協議会の議論を踏まえた。

韓国政府が元徴用工への福祉事業を手掛けるため14年に設置した公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」を活用する。財団には韓国鉄鋼大手のポスコが60億ウォン(6億円ほど)を拠出した。

ポスコは1965年の日韓請求権協定に伴う日本の経済支援で恩恵を受けた韓国企業のひとつ。韓国政府は日本企業の自発的な資金拠出も想定する。日本側には賠償金と同額の拠出を提起したもようだ。

韓国最高裁はこの夏、日本企業の資産現金化を一時的に留保した。検討作業に長い時間を費やすことはできない。このため韓国政府は法整備はせずに財団と被告である三菱重工業が民事契約を結ぶ方式を調整している。

合意に導けるかは政権基盤も左右する。韓国では原告や市民団体の反対がある。尹政権の支持率は30%前後と低迷し、革新系野党の反発覚悟で政策を押し通す推進力に乏しい。

調整が難しいのは日本も同じだ。韓国の官民協議会は原告側が望む日本企業の謝罪が必要だと結論づけた。日本側は日韓請求権協定に基づき解決済みとの立場で「企業による謝罪」を拒否する方針だ。

岸田首相が安倍政権の外相だった2015年の慰安婦合意も記憶に残る。「不可逆的」といった文言を文書に盛ったものの、日韓合意は文政権下で元慰安婦を支援する財団が解散するなど形骸化した。

首相はカンボジア訪問の直前に死刑執行を巡る発言で葉梨康弘前法相を事実上更迭した。10月24日に山際大志郎氏が経済財政・再生相を辞めたばかりで与党内には首相の求心力低下を危ぶむ声が広がる。

野党は葉梨氏の更迭に続き、寺田稔総務相の政治資金問題への批判も強めている。歴史問題で妥協したと受け止められれば世論の反発を招く。

日韓が関係改善への次の一歩を踏み出せるかは両国の政権の状況と表裏一体といえる。

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