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中国財政赤字、コロナ前水準に抑制へ 22年GDP比率2.8%

【北京=川手伊織】中国政府は、2022年の財政赤字を新型コロナウイルス前の水準に抑える。国内総生産(GDP)に対する比率を19年に並ぶ2.8%程度に下げる。財政の健全化をアピールするが、赤字削減は中国人民銀行(中央銀行)の利益上納金など一時的な要因もある。高齢化で膨らむ社会保障費など歳出の抑制などが今後の課題だ。

中国財政省の予算報告によると、22年の財政赤字は3兆3700億元(約63兆円)と見積もった。新型コロナの打撃で税収が落ち込んだ20年の赤字額は前年比36%増の3兆7600億元に拡大した。その後、2年連続で圧縮する。

財政の持続性は、赤字額を経済規模と比べた比率で判断する例が多い。22年の目標は2.8%前後と定めた。前年実績から0.3ポイント下がり、新型コロナ前の19年と同じ水準になる。

習近平(シー・ジンピン)指導部は秋の共産党大会を控え、積極財政で景気を下支えする方針だ。2兆5000億元規模の減税や税の還付で企業などの負担を軽減する。

この影響をうけ、一般会計に当たる全国一般公共予算ベースの歳入は前年比3.8%増にとどまる。一方、歳出は社会保障・雇用や教育への支出が増え、8.4%増を見込む。増加幅で歳出が歳入を上回る。

それでも財政赤字が減るのは、新型コロナからの経済正常化で税収が見通しより上振れした21年の剰余金や人民銀の利益上納金といった「特別収入」を多めに見込むためだ。人民銀は過去数年間、外貨準備の管理で積み上がった1兆元超の利益を国に還元した。

22年の特別収入は前年の2倍の2兆3285億元を計上した。単純計算すると、この倍増で財政赤字のGDP比率は約1ポイントも下がった。

財政健全化をアピールするが、構造問題は変わっていない。まずは地方政府の歳入不足だ。

米中貿易戦争や新型コロナの打撃に対応した減税などで、地方政府の税源は細ってきた。代わりに国有地の使用権の売却収入への依存を強めてきたが、習指導部の不動産規制でこの収入も大幅に落ち込んだ。1~2月分は前年同期より3割少なく、15年1~10月以来の減少率となった。

地方政府の安定財源として関心を集めたのが、固定資産税に相当する不動産税だ。財政省はモデル都市での試験実施を検討してきたが、国営新華社が16日、同省が年内の実施は見送ると表明したと報じた。新税の導入がマンション市場の冷え込みを長引かせかねないと懸念しているためだ。

地方財政難に対して、中央政府は移転支出を増やして対応する。22年は前年から2割近く増やす。中央政府の予算に占める移転支出の割合は19年の68%から、22年には73%まで高まる。

高齢化で社会保障の財政負担も高まる。22年からは中国版「団塊世代」の退職が本格化する。多数の餓死者を出した大躍進政策後の1962年から出生数が大幅に増え、ベビーブーム世代の男性が60歳の定年退職を迎えるためだ。

22年の全国一般公共予算の歳出のうち、社会保障・雇用関連の経費は14%を占める。21年から0.3ポイント高まる。財政省傘下のシンクタンク、中国財政科学研究院の試算では、社会保障・雇用関連の支出は25年時点で20年より43%増える。税収の伸び(34%)を上回る。

社会保障費の伸びを抑制するため、中国政府は法定退職年齢の引き上げを25年までの重要課題に掲げる。第1弾として江蘇省が3月から働き手の申請を条件に退職を遅らせられる制度を始めた。ただ年金の受取総額が減るといった懸念から反発も根強く、全国一律での年齢引き上げには時間がかかりそうだ。

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