中国の外相、ソロモン諸島を訪問か 豪メディア報道
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【シドニー=松本史】オーストラリアの公共放送ABCは10日、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が近く南太平洋のソロモン諸島を訪問する見通しだと報じた。ソロモンと中国は4月、安全保障協定を締結し豪州や米国の警戒を招いている。
ABCはソロモン政府高官の話として、首都ホニアラで王氏訪問に向けた準備が進んでいると伝えた。豪州では21日に総選挙が実施されるが、その直前のタイミングになる可能性があるとしている。
ソロモンは豪州の北東約2000キロメートルに位置し、米豪の海上交通路(シーレーン)に近接するなど地政学上の要衝にある。豪州の最大野党・労働党は選挙戦で、ソロモンと中国の安保協定締結について与党・保守連合の失策と非難を強めてきた。総選挙直前の王氏のソロモン訪問は野党にさらなる攻撃材料を与えることになり「保守連合内での不安を高めている」(ABC)という。
ソロモンは伝統的に台湾と外交関係を持ってきたが2019年に台湾と断交し、中国と国交を結んだ。4月に署名された安保協定の詳細は明らかになっていないが、3月に流出した草案にはソロモンへの中国軍派遣や中国艦船の寄港を認める内容が盛り込まれていた。