テンセント、7~9月の純利益3%増 広告事業は減速

【広州=比奈田悠佑】中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)が10日発表した2021年7~9月期決算は、純利益が前年同期比3%増の395億元(約7000億円)だった。投資先の評価益などが利益を押し上げた一方、ネット広告事業など本業の成長は鈍かった。広告宣伝に積極的だった教育業界などで当局の締め付けが強まりつつあるためだ。
売上高は13%増の1423億元だった。ネット広告事業の売上高の増加率は5%と全体の伸びに及ばなかった。「教育や保険、ゲーム業界などの広告需要が弱かった」(同社)という。中国政府は今夏、学習塾の開業や資金調達を制限する規制方針を発表しており、業界による広告出稿量を押し下げたとみられる。
ゲームについても未成年者の利用時間を一段と減らす新規制が導入され、広告だけでなくテンセントが手がけるゲーム事業そのものにも影響している。中国本土のゲーム事業の売上高の伸びは5%にとどまった。規制の対象外である海外向けは20%増加した。
各種規制により本業の成長が鈍化するなか、投資先の評価益などで構成する「その他の利益」が229億元と前年同期の2倍に膨らんだ。テンセントは海外のゲーム開発会社や金融関連など幅広い分野の企業へ積極的な出資を続けている。