香港キャセイの1~6月期、3年連続赤字 4000人雇用へ

【香港=木原雄士】香港のキャセイパシフィック航空が10日発表した1~6月期の最終損益は52億9900万香港ドル(約910億円)の赤字だった。赤字幅は前年同期の78億香港ドルから縮小したものの、1~6月期としては3年連続の赤字だった。需要回復をにらみ4000人超を採用する計画も明らかにした。
香港は新型コロナウイルス禍に伴う厳しい入境規制を続けており、キャセイの業績を下押しした。パトリック・ヒーリー会長は10日の記者会見で「香港は他の国際航空ハブに大きく後れを取っており、ライバル航空会社はコロナの打撃からより早く回復している」と危機感を示した。
1~6月期の売上高は前年同期比17%増の185億香港ドルだった。1~4月は新型コロナの流行に伴う入境規制で旅客需要が低迷したものの、5、6月に持ち直した。1日あたりの旅客数は1853人と、前年同期の2倍を超えた。
年末までに旅客便は感染拡大前の25%、貨物便は65%まで運航能力を回復させる方針だ。海外に駐機していた航空機を香港に戻し始めたほか、今後1年半から2年間で元従業員の再雇用を含めて4000人超を採用する。うちパイロットは700人、客室乗務員は2000人を予定している。
香港は海外からの到着時に義務付けているホテルでの隔離期間を12日から、7日間から3日間に短縮する。ヒーリー氏は政府の決定について「旅客需要の増大につながる」と歓迎する一方で、乗務員に課される検疫などの規制が運航容量拡大の妨げになっていると強調した。「政府はコロナ規制全廃に向けた明確なロードマップを示してほしい」と述べた。
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