ASEAN、南シナ海行動規範で中国と作業部会 合意急ぐ - 日本経済新聞
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ASEAN、南シナ海行動規範で中国と作業部会 合意急ぐ

【ジャカルタ=地曳航也】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は8~10日の日程で南シナ海での紛争抑止に向けた「行動規範(COC)」の策定に関する事務レベルの作業部会を開いた。ASEANには米中の偶発的な軍事衝突のリスクが高まっているとの見方があり、巻き込まれるのを避けるため早期の合意をめざす。

作業部会は2023年のASEAN議長国を務めるインドネシアの首都ジャカルタで開催した。インドネシア外務省のシダルトASEAN協力局長は10日、記者団に「草案の作成を含めて交渉のスピードアップを試みる」と強調した。協議の内容への言及は避けつつ、「現状の変更は遺憾だ」と軍事拠点化を進める中国をけん制した。

ASEANが交渉の頻度を高める方針を示すのは、米国と中国が南シナ海で偶発的に衝突する可能性が否定できないとみるからだ。22年8月に米国のペロシ下院議長が台湾を訪問したことを受け、中国が対抗措置として台湾周辺で実施した大規模演習はそれを印象づけた。妥結時期は明示しないものの、可能な限り早期の合意をめざす。

COCとは中国とASEANの一部の国が領有権を争う南シナ海での紛争を未然に防ぐためのルールだ。①地理的範囲、②紛争解決のメカニズム、③協力義務のあり方、④域外国の役割、⑤法的拘束力――の5つが論点になっている。21年8月の中国とASEANの外相会議で序文の暫定合意に至った。内容は公表していない。

中国とASEANは領有権争いの平和的解決をめざした02年の「行動宣言」でCOCの策定をうたった。しかし中国側が慎重な態度をとり続け、交渉はようやく13年に始まった。南シナ海での中国の主権の主張を否定した国際仲裁裁判の判決以降、中国は前向きな姿勢に転じ、一時は21年までの交渉妥結をめざした。

COCにより海域での軍事演習や資源開発をめぐり米国など域外国を排除しようとする中国と、関与を模索するASEANとの溝は大きい。新型コロナウイルス禍も重なり、交渉は停滞している。この間、中国は軍事拠点化を進め、対立は強まっている。2月にはフィリピンの巡視船が中国艦船からレーザー照射を受ける事態も発生した。

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