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北朝鮮、韓国の連絡に応じず 米韓軍事演習に反発 

(更新)
金与正氏は米韓軍事演習をけん制した=ロイター

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮は10日、7月下旬に復旧させた韓国との定時連絡に応じなかった。事実上始まった米韓合同軍事演習に反発し、通信回線を再び遮断した可能性もある。演習を中止に追い込もうと、対話再開を望む文在寅(ムン・ジェイン)政権を揺さぶる狙いとみられる。

韓国国防省によると、北朝鮮側は10日午後4時の軍の定時連絡に応答しなかった。統一省による午後5時の連絡にも反応がなかった。同日午前の通話には応じていたという。

聯合ニュースによると、統一省関係者は「状況を注視している。現時点で完全に通信が途切れたと判断するのは難しい」と話した。11日に再度、北朝鮮側に連絡を試みるという。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記は7月27日に文大統領と通信回線の復旧で合意した。開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破してから約1年ぶりで、南北対話への期待が生まれ始めた直後だった。

北朝鮮は米韓両軍が軍事演習を実施することへの不満を示した可能性が高い。米韓軍が16日からの演習に先立ち、10日に局地的な挑発に備える危機対応訓練を始めると、朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)氏がすぐさま強く反対する談話を出したからだ。

談話は「米国の対朝鮮敵視政策の表れだ。必ず代価を支払うことになる自滅的な行動だ」と警告。在韓米軍の撤収や、自らの核・ミサイル能力の増強が必要だと主張し、談話は金正恩氏の意向であることをほのめかした。

金与正氏は1日にも談話で演習の中止を要求した。ただこの時は「南朝鮮(韓国)側が敵対的な戦争演習を行うか、大勇断を下すかを鋭く注視する」として文政権の対応を見極める考えを示していた。

北朝鮮の求めを踏まえ、韓国内では8月に入り、南北対話を再開させたい文政権の高官や革新系与党から延期論が相次いでいた。

文大統領は4日、徐旭(ソ・ウク)国防相に「様々なことを勘案し、慎重に考慮してほしい」と指示。与党「共に民主党」の国会議員ら70人余りは、演習の延期を求める声明を出した。

もっとも文政権にとって演習の中止や延期は現実的な選択肢ではない。文氏は5月に訪米しバイデン大統領と強固な米韓同盟を確認しているからだ。このため韓国軍は16日から26日まで実施する軍事演習の規模を、計画よりも縮小する方向で調整を進めた。

国防省は詳細を明らかにしていないが、国防に詳しい韓国国会議員によると、米軍は計画通り展開する一方、韓国軍は新型コロナウイルスを理由に戦時の作戦遂行に必要な増員をせず、参加人員を抑制する。本来の計画の12分の1の規模にとどまるという。

この間、中国は北朝鮮の援護に動いた。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は6日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で「米国が北朝鮮との対話再開を望むなら、緊張につながるいかなる措置も取ってはならない」と軍事演習をけん制し、対北朝鮮制裁の緩和にも言及した。

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